平成28年度民事法第1問を解いてみました

まだまだGW中ですが、いかがお過ごしでしょうか。私は、司法試験に向けた勉強として過去問を解いてみることにしました。

平成28年度民事法第1問を解いてみて、自分の勉強のどこに問題があるのか検討してみることにしました。解答をここに書いてみて、みなさんの意見を聞いてみることにします。

なお、平成28年度の試験問題は法務省のサイトで確認できます。

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司法試験の問題と解説 2016 (別冊法学セミナー no. 244)

司法試験の問題と解説 2016 (別冊法学セミナー no. 244)

 

 

 

 第1問

 小問1

 1.問題の所在

  EはA及びDに対して亡Cの所有であった甲土地の所有権移転登記を求めているが、民法94条2項の類推適用により、可能であるかが問題となる。

 2.権利外観法理

  民法94条2項は、虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗できないことを規定しているが、これは権利の外観を信頼した第三者を保護するための規定である。そのため、民法94条の類推適用により真実に反する外観が存在しているにもかかわらず、その外観について目次的に許可を与えていたといえるほどの帰責事由があり、かつ、取引に入った第三者が過失なく、その外観を信頼したといえる場合には、当該第三者に権利を対抗できないことになると解される。

 3.本件事案の検討

   Eは、A及びDに対して、権利外観法理の主張をすると考えられるが、EはAが登記名義人でないことの確認を十分に行っていない。すなわち、Aが公租公課の支払いを行っていたことの一事で、Aが甲土地の登記名義人であると信頼しただけである。そのためEは過失なく、その外観を信頼した者には該当しないといえる。したがって、EのA及びDに対する権利外観法理の主張は失当である。

 4.結論

  したがって、EはA及びDに対して民法94条2項の類推適用により高土地の所有権を移転できない。

小問2

 1.問題の所在

  DはFに対して、乙土地の明渡し及び丙建物の収去を自己の乙土地の持分権に基づき主張することとなると解されるが、DはFに対して、このような主張を行うことができるかが問題となる。

 2.権利外観法理

  民法94条2項、110条の類推適用により、ある者が権利者の代理人として取引に関与し、その権利を他人に売渡した場合、その買主に所有権が移転したことになると解されている。なぜなら、どちらの規定も、その権利の外の存在を善意無過失で信頼した第三者を保護する規定だからである。

 3.本件事案の検討

 (1) Dは、自己の乙土地に対する持分権を主張するために、乙土地はCの所有であったことを主張しなければならないが、Fは、乙土地について、Cの死亡時、Eに所有権が移転していた外観があり、Fは善意無過失で信頼したことを主張することになると解される。

 (2) そこで、このFの主張を検討すると、CはAに公租公課を払わせるなどして、CからEに登記が移転することを漫然と放置しており、Eの所有権の外観を作出しているといえる。また、Fは、Eの所有権の不存在について善意無過失で信頼した者であるため、Fは民法94条2項、110条の類推適用により、所有権者として保護されることになる。

 (3)よって、DはFに対して、自己の持分権を主張できない。

4.結論

 したがってDはFに対して、自己の持分権に基づく所有権移転登記請求を主張することはできない。

第2問

 小問(1)

  1.問題の所在

   MはHから譲渡された債権に基づき、500万円と、それに対する遅延損害金の支払いを請求しようとしているが、このようなMの請求が可能であるかが問題となる。

 2.公序良俗違反

  民法90条によれば、国家秩序および社会秩序に反するような法律行為をなすと、その法律行為は無効となると規定されている。しかし、この無効を主張するには、公序良俗違反の事実が契約の目的となっていなければならないため、契約の無効を主張するためには当事者間で公序良俗違反の事実が表示されていなければならない。

 3.債権譲渡と異議をとどめない承諾

  民法468条によれば、債権譲渡の際に第三債務者が異議をとどめないで債権譲渡の承諾をなした場合、債務者は譲渡人に対抗できた事由を債権者に対抗できないことになる。このとき譲渡人に対抗できる事由に契約の向こうが含まれるかが問題となるが、契約の無効事由が契約に存在する場合、その契約ははじめからなかったことになるため、契約の無効は譲渡人に対抗できた事由に含まれないと解されている。

 4.本件事案の検討

  (1)本件事案において、HはMに債権を譲渡しているため、MがEの債権者であるといえる。これに対してEはEH間の契約が公序良俗に違反するため、この契約は無効であると主張することができると解される。なぜならEH間の金銭消費貸借契約の目的はEのとばくでの使用であった。すなわち、社会秩序に違反する事項を目的とする契約であったといえる。しかも、EH間でこの事実は表示されている。よってEは民法90条を理由として契約の無効を主張することができると解される。

  (2)それに対して、MはEが債権譲渡を行った際に異議をとどめない承諾を行った事実を主張することになると考えられるが、第三債務者が債権の譲渡人に対抗できた事項に契約の向こうの事実は含まれない。よってMはEが異議をとどめない承諾を行ったことを理由として主張することはできない。

5.結論

 したがって、MはEに対して500万円とそれに対する利息や遅延損害金の支払いを請求することはできない。

小問2

 1.問題の所在

  MはEに対して、民法709条の不法行為に基づき500万円とそれに対する利息や遅延損害金の支払を請求しようとしているが、このようなMの請求が可能であるかが問題となる。

 2.債権侵害

  債務者が債権者を害する意図で契約を締結したり、債権の行使を不当に妨げたといえる場合にはその債務者の行為は債権者の財産権を侵害する行為であるため、民法709条に基づき損害賠償請求をすることができると解されている。

 3.本件事案の検討

  本件事案においてEは確かに賭博の資金を得るためにHとの間で金銭消費貸借契約を締結しているものの、その目的は少なくとも債権者であるHやMを害する目的ではない。なぜならEはあくまで事業の借金の返済に充てるつもりでHより資金を借りており、Hに財産的侵害を加える目的はないからである。また、Mに対して債権譲渡の承諾を行っているが、それはMの財産を侵害する目的で行っていない。なぜなら、EはHの指示に従って承諾する旨の通知をしただけだからである。

 4.結論

  したがってMは民法709条に基づき、Eに損害賠償請求をすることはできない。

小問3

 1.問題の所在

  LはKE間の金銭消費貸借契約の連帯保証人としてKに548万円を支払ったため、Eに対して、その求償として548万円の支払いを求めようとしているが、このようなLのEに対する請求が認められるかが問題となる。

 2.連帯保証契約

  連帯保証契約とは、連帯保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する義務を負う保証契約であると解されている(民法458条)。そのため連帯保証人が債務の弁済を行った場合、連帯保証人は主たる債務者に対して求償を行うことができると考えられるが、主たる債務が無効の場合は、求償も無効となる。なぜなら、債務者は始めから負担すべき債務を負っていなかったことになるからである。

 3.金銭消費貸借契約

  民法587条に基づく金銭消費貸借契約が成立するためには、金銭の返還の約束をし、貸主が借主に金銭の交付を行わなければならない。

 4.本件事案の検討

  本件事案においてLはEのKに対する債務の連帯保証人として、584万円の支払いをした者の、KはEに対して500万円の交付を行っていないため、KE間の金銭消費貸借契約は存在しない。よってLはEに対して584万円の求償を行うことができない。

 5.結論

  したがって、LはEに対して584万円の支払いを請求することができない。

以上

 自身での反省点などはまたブログに書き込みます。