『刑事訴訟法判例百選〔第10版〕』を購入しました。

刑事訴訟法判例百選〔第10版〕』(有斐閣)を購入しました。

そのため、9版と変わった判例がないか少し見てみました。以下、感想などとともに、何がどう変わったのか書いていきます。

 

刑事訴訟法判例百選 第10版〈別冊ジュリスト232号〉

刑事訴訟法判例百選 第10版〈別冊ジュリスト232号〉

 

 

 

まず、新しく加わった判例として、最高裁平成29年3月15日大法廷判決(GPS捜査)百選30事件が挙げられます。これは、今年3月に出たばかりの画期的な最高裁判決です。また、この判例の評釈(判例の分析、批判などの記載のこと)を担当されている方は、井上正仁教授で、なんと6ページにわたって判例について書いています(ふつうは2ページ)。ですので、GPS捜査に関する学説の反応を深く学べるのではないでしょうか。

ほかにも、公判前整理手続や裁判員制度の合憲性などの新しい判例についても取り上げ、評釈が載っています。これらの問題について関心のある学生や、刑事訴訟法、刑事手続きに関心のある方はぜひ購入することをオススメします。

 

ほかに第9版と変わった点としては上訴・再審に関する解説がなくなり、アペンディクスで関連判例が取り上げられるようになった点が異なります。僕としては、関連判例が羅列されるだけよりも、過去にどういう冤罪事件(または冤罪と疑われる事件)があったかという観点からそのような事件について分析するという一般的な需要にこたえにくくなった印象を持ってしまい、不満に感じています(この観点から刑事訴訟法、刑事手続に興味を持つ方も多いのではないでしょうか?)。しかし、これは、実務家による刑事手続きの解説に焦点があてられるようになったことの表れではないかとも考えています。筆者をみたところ、裁判官や、検事などが数人おり、近年の法科大学院教育向けの観点や、実務での使用のためといった色合いが強くなっているような気がします。

 

法科の趣味人としては新たな判例は何かということを押さえたい法学部、法科大学院の学生にとって、非常に興味の湧くものであり、学生にぜひ読んでもらいたいと思うようになりました。

 

刑事訴訟法判例百選 第10版〈別冊ジュリスト232号〉

刑事訴訟法判例百選 第10版〈別冊ジュリスト232号〉

 

 9版も併せて読んでみたちという方はこちら

 

刑事訴訟法判例百選 第9版 (別冊ジュリスト 203)

刑事訴訟法判例百選 第9版 (別冊ジュリスト 203)