ロープラクティス商法 事例⑥

株式の部分まで書く予定でしたが、書けるかかけないかわからなくなってきました。ですが、進めるだけ進めてみます。

 

Law Practice 商法〔第3版〕

Law Practice 商法〔第3版〕

 

 

 

下書き

設問(1)

 預け合いの意義

 最高裁昭和38126日判決によれば、預け合いとは、「当初から真実の払込として会社資金を確保するの意図なく、一時的借入金を以て単に払い込みの外形を整え、株式会社成立の手続き後直ちに右払込を払い戻してこれを借入先に返済する」ことを指す。

 会社の営業資金が何ら確保されたことにはならないため、払い込みとしての効力を有しないとされている。

 見せ金の意義

 最高裁平成3228日決定によれば、「当初から真実の株式の払込として会社資金を確保させる意図はなく、名目的な引受人がA社自身あるいは他から短期間借り入れした金員をもって単に払い込みの外形を整えた後、A社自身において直ちに右払込金を払い戻し、貸付資金捻出のために使用した手形の決済あるいは借入金への代位弁済に充てたもの」を指すとされる。

 この払込の効力も預け合いと同じく払い込みの効力としては効力を有しない。

 →Y1の払込は預け合い、Y2の払込は見せ金として、払い込みの効力としては無効。

設問(2

 預合罪の成否

 預合いの定義に当てはまっているだけでなく、最高裁昭和421214日によれば、「株式引受人の会社に対する債権が真実に存在し、かつ会社にこれを弁済する視力がある場合には、右弁護人主張のような態様の払込方法をとったとしても、資本充実の原則に反するものではなく、株式払込仮装行為とはいえないから、商法491条(現行会社法965条)の預合罪および応預合罪に当たらないものと解するのを相当とすると判断している。」

 →本件事案において、Y1にこのような事情はないため預合罪が成立する

 

答案

設問(1

1.Y1による出資金の払込の効力

 預合いとは、 当初から真実の払込として会社資金を確保するの意図なく、一時的借入金を以て単に払い込みの外形を整え、株式会社成立の手続き後直ちに右払込を払い戻してこれを借入先に返済することを指す。この払込の効力は、会社の営業資金の確保に役立たないため、払い込みの効力としては無効になる。

 本件事案において、Y1は高校の同窓であるP銀行のQ支店融資担当部長であるTと謀り、自らが5000万円の融資を受け、これを自らが引き受ける株式5000株の払込金としてP銀行Q支店に有する払込金専用口座に振り替えるが、Y1が当該借入金を返済するまでは、当該口座からの資金の引き出しをしないことを合意し、Tは当該内容を実行している。これは、Y1Tと仮想払込を共謀して、P銀行Q支店の一時借入金を用いて払い込みの外形を整えているといえる。

 さらに、Z社が成立した後、Y1Z社の代表取締役としてP銀行Q支店の口座から1億円を引き出して、P銀行の自己の借入金の返済に充てているため、Y1は株式会社の成立後会社設立のための払込を払い戻して借入先に返済したものということができる。

 したがって、Y1は預合を行ったということができ、Y1の払込の効力は無効であるといえる。

2Y2による出資金の払込の効力

 見せ金とは、当初から真実の株式の払込として会社資金を確保いさせる意図なく、名目的な引受人が会社自身あるいは他から短期的に借り入れした金員をもって単に払い込みの外形を整えた後、会社自身において直ちに払込金を払い戻し、貸付資金捻出のために使用した手形の決済あるいは借入金への代位弁済に充てることを指す。この払込の効力は、会社資本を充実させるのに役立たたないため、無効となるとされる。

 本件事案において、Y2は、自らが引き受けた株式5000株の払込のために、長年取引してきたR銀行Q支店において5000万円を借り受け、これをP銀行Q支店の払込金専用口座に振り込んでいるが、一時的な借入金を用いて単に払い込みの外形を整える行為であるといえる。

 また、Y2は会社設立後、Y1に依頼して、P銀行Q支店から1億円を引き出させ、5000万円R銀行に対するY2の借入金の支払いに代位弁済させているこのことから、Y2は当初から真実の払込を行う意図がなく、会社設立後に会社自身から払込金を引き出させ、借入金に代位弁済させたということができる。

 したがって、Y2の払込は、見せ金であるということができ、Y2の払込の効力は無効であるということができる。

設問(2

 1会社法965条によれば、発起人が預合いを行った場合刑罰が科されることが規定されている。

ただし、資本充実の原則に反する態様でなければ、会社法965条の責任は負わないとされている。

 先述の通り、Y1は預合いを行っており、Y1の預合い行為が資本充実の原則に反しない態様のものであるといえる事情もないため、Y1会社法965条の預合いを行ったといえる。

 2.したがって、Y1会社法965条の預合いの罪を負う。