ロープラクティス商法 事例⑦
何とか間に合ったため、投稿しておきます。
下書き
設問(1)
会社法上、株式の準共有者は、会社法106条の手続きに基づかなければ、株主としての権利を行使できないため、会社法830条、831条の株主総会に関する訴訟についての原告適格を有していない。
しかし、例外として、最高裁平成2年12月4日判決によれば、「株式を準共有する共同相続人間において権利行使者の指定及び会社に対する通知を欠く場合であっても、右株式が会社の発行株式の全部に相当し、共同相続人のうち一人を取締役に選任する旨の株主総会決議がされたとしてその陶器がされている本件お時のような時は、前述の特段の事情が存在し、他の共同相続人は、右決議の不存在確認につき原告適格を有するものであるというべきである。」と判断している。
このように最高裁が判断したのは、株主総会において、会社は開催を主張すべき立場にあるにもかかわらず、株式の準共有者の原告適格を争うと、株主総会の瑕疵を自認することになり、信義則に反するからである。(また、この判例は、射程が判例の事案に限定されていないと考えられるため、例えば、過半数が、株式の準共有者になった場合でも妥当する。)
→本件は、株主総会が開催できないはずであるのに、会社は原告適格を否定しているため、信義則に反する場合に当たると考えられる。そのため、Xの原告適格は否定されない。
設問(2)
会社法433条によれば、株主には会計帳簿の閲覧請求が認められている。しかし、株式の準共有者には会計帳簿の閲覧請求が認められていない。なぜなら、株主の権利の確保又は行使に関する権利を保護する必要はないと考えられているからである。
答案
設問(1)
1.株式の準共有者は、会社法106条にの規定に基づかなければ、株主としての権利を行使することができないため、会社法830条1項の株主総会不存在確認訴訟は提起できないとされている。しかし、準共有となっている株主の出席・決議がなければ、有効に株主総会を開催できないにもかかわらず、株主の準共有者に原告適格がないと主張することは、一方で株主としての地位を認めつつ、一方で株主としての地位を否定するものであるため、信義則上会社は株式の準共有者の原告適格を否定することはできない。
本件事案において、XはAが死亡したことにより、Aの兄弟姉妹とY社株式の51パーセントについて準共有者になったということができる。そのため、Xが株主としての権利を行使するためには、会社法106条の規定に基づかなければならないものの、権利行使者が定まったということはなく、協議が難航している。そのため、Xは株主として会社法830条1項の株主総会不存在確認訴訟を提起することはできないといえる。
しかし、生前Aが有していた株式51パーセントがなければ、会社法309条1項の定足数違反により株主総会が開催されないにもかかわらず、Y社は株主総会が開催されたと主張しつつ、一方でXの原告適格を否定しているため、Yは信義則上Xの原告適格を否定できない。
2.したがって、XはYに対して株主総会の不存在を主張することができる。
設問(2)
1.会社法433条によれば、株主は会計帳簿の閲覧請求をすることができるとされている。この帳簿閲覧請求は、株主の準共有者に認める必要はないため、株式の準共有者は帳簿閲覧請求の原告適格を有していない。
本件事案において、Xは株式の準共有者であるため、会計帳簿の閲覧請求を会社法433条に基づきすることはできない。
2.したがって、Xの帳簿閲覧請求はできない。