ロープラクティス商法 事例⑧

今回の問題は種類株式に関する問題ですが、この問題は判例もないため、解説を参考にしながら、書いてみました。

 

Law Practice 商法〔第3版〕

Law Practice 商法〔第3版〕

 

 

 

下書き

設問(1)

 会社法3184項によれば、株主および債権者は、株主総会の議事録について閲覧請求をすることができるとされている。これは、株主総会について利害関係を有する者はだれでも請求することができることを示している。

 →無議決権株主も株主総会について利害関係を有しているため、株主総会の議事録について閲覧請求をすることができる。

設問(2)

 会社法3114項によれば、株主は議決権行使書面について閲覧謄写請求をすることができるとされている。この規定は株主に限定され種類株主は含まれない。

 →無議決権株主は会社法3114項の株主に含まれないため、議決権行使書面について閲覧請求をすることはできない

設問(3)

 会社法831条の株主総会決議の取り消しについての原告適格は、議決権があることを前提とする共益権であるため、株主総会について議決権を有しない、種類株主は原告適格を有しない。

 →無議決権株主は種類株主であるため、会社法831条の原告適格を有しない。

 

解答

設問(1

1.会社法3184項によれば、株主は株主総会議事録の閲覧謄写請求を行うことができるとされている。この規定は、株主だけでなく、会社債権者にも閲覧謄写請求を認めているため、株主総会について何らかの利害関係を有する者に、権利行使を認める規定であると解される。そのため、会社法3184項の株主には種類株式の株主も含まれると解される。

 本件事案において、XY社の無議決権の種類株式の株主である。このような無議決権株主も、会社法3184項の閲覧謄写請求権を有する株主に含まれると解されているため、X会社法3184項に基づき株主総会議事録の閲覧謄写請求を行うことができる。

2.したがって、X会社法3184項に基づき、株主総会議事録の閲覧謄写請求を行うことができる。

設問(2

1会社法3114項によれば、株主は議決権行使書面の閲覧謄写請求を行うことができるとされている。この規定は、議決権を有する株主に限定されており、種類株式の株主は含まれないと解されている。

 本件事案において、Xは無議決権株式の株主であるため、種類株式の株主であるということができる。そのため、会社法3114項に基づき、議決権行使書面の閲覧謄写請求を行うことはできない。

2.したがって、XYに対する議決権行使書面の閲覧謄写請求は認められない。

設問(3

1会社法831条によれば、株主総会決議の取り消しについて、株主に原告適格があることを認めている。この原告適格は議決権があることを前提とする共益権であるため、株主総会について議決権を有しない種類株式の株主には、原告適格はない。

 本件事案において、Xは無議決権株式の株主であるため、株主総会について議決権を有していない。そのため、Xには、株主総会決議取り消しの原告適格は認められていない。

2.したがって、XYに対して、株主総会決議の取り消しを求めることはできない。