2020年4月25日の勉強メモ(雑多)

 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト〈3〉民事系民法1を解きました。

 

 

 

  本権とは、物の占有を正当化する権原を指す。この例として、所有権、用益物権留置権、質権、賃借権がある。ただし、留置権は、占有を奪われると消滅することから、質権は占有を奪われると第三者に対抗できなくなることから本件に基づく訴えができない場合が多い。

 

所有権に基づく明け渡し請求に関する問題

   占有権原の抗弁で賃借権、使用貸借権があることを主張するためには、契約の成立と契約に基づく引き渡しを主張する必要がある。

 地上権に基づく占有権限を主張するためには、①地上権設定契約、②引渡し(?)を主張しなければならない。そのため、地上権設定登記を受けた事実を主張しても、抗弁とはならない。また、登記があったとしても、地上権設定契約の推定を受けることとなるとは言えない。(最高裁昭和38年10月15日判決)

 同時履行の抗弁権や、留置権の主張をした場合には、請求棄却とはならず、引換給付判決がなされる。

 未成年者については、取り消し前の第三者を保護する規定がないため、取り消し前の第三者が善意であろうとも第三者は所有権の移転を対抗できない。(多分取り消し後の第三者であれば、対抗関係に立つ)

 契約解除前の第三者については、民法545条3項によれば、第三者を害することはできないとされているため、取り消し前の第三者は、この「第三者」に当たれば、民法545条3項によって保護される。そのため、取り消し前の第三者が保護されるためには、登記が必要である(民法545条3項を根拠として取り消し前の第三者の保護を考えるべきである)。

 仮装譲渡の譲渡人は善意の第三者の登記の有無にかかわらず善意の第三者に自己の所有権を主張することはできない。しかし、仮装譲渡人から譲り受けた者と善意の第三者は、民法177条の対抗関係に立つ。

  XがYの代理人としてAから土地を買い受け、Yが同土地を所有し占有するようになったが登記がAのままであったことを奇貨としてXが土地を買い受けた場合は、XはYに対して不動産登記法5条の法意(東京高裁昭和53年6月28日判決が元となっているのだろうが、信義則を根拠としていない)に照らして所有権に基づく引き渡し請求をすることはできない。

  敗者復活の原則については、登記の開始時点から取得時効が算定される最高裁平成24年3月16日判決は、「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記のされることのないまま第三者が所有権から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を領した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したとき」に時効取得を主張することができるとされている。

 遺贈について遺言執行者が設定された場合に、相続人が勝手に単独の所有権の移転登記の設定を受けて第三者に譲渡した場合、その譲渡は無効であり、第三者は、遺贈を受けた者に対抗できない。ただし、民法1013条2項但し書きによれば、善意の第三者である場合には無効を主張できないとされている。

 

詐害行為取消権についての効力

 詐害行為取消権は、その財産を行為前の状態に回復させることによって、債権者の責任財産保全する制度であるため、その目的の範囲を超えて効力を認めるべきではない。そのため、取り消しの基礎となった契約はさかのぼって無効とはならない。

 一般的に詐害行為取消権について遡及効が認められないといわれることはあるものの、令和元年度重要判例解説 (ジュリスト臨時増刊)民法6事件によれば、遡及効が認められないという一般論はどうやら誤りである。債権保全の必要のない範囲について訴求効を認めないとまとめるべきだろう。