スポーツ法まとめメモ(5)

今回はスポーツ関係者についての契約関係についてまとめていきます。

僕は標準スポーツ法学第2版を参照していますが、ゴールデンウィーク中に標準テキスト スポーツ法学 第3版が発売されるようです。

 

 

標準テキスト スポーツ法学 第3版

標準テキスト スポーツ法学 第3版

  • 発売日: 2020/05/07
  • メディア: 単行本
 

 

 スポーツ関係の契約の基本

 契約自由の原則に基づき、①契約を締結するか否かの自由、②契約相手を選べる自由、③どのような契約を定めるかの自由、④契約締結方法の自由があるとされる。

 また、スポーツ関係者間で、約款による契約が行われている。このような約款については民法548条の2第1項において定型約款として定義され、民法548条の2から548条の4までで規制されている。

 スポーツ関係の契約については、関係者が多様に存在するため、関係者ごとにどのような契約がされているか見ていかなければならない。また、協議に応じて契約内容は変わる。

 

アスリートとの間の契約

  アスリートとの間の契約については、請負契約説と雇用契約(労働契約)説があるが、日本では請負契約であると考えられている。ただし、アスリート選手は労働組合法3条の「労働者」に当たると考えられている*1

  競技種目によっては契約当事者間で変更することができない項目などがある。なぜなら、共存共栄が重要であったり、選手を均等に配分する必要などがあるからである。

 例えば、プロ野球の選手契約については、野球協約47条によって、野球協約と統一契約書で定められている条項は契約当事者間の合意によっても変更することができないとされている。また、仮に変更したとしても無効である。ただし、公序良俗に違反する場合は変更の禁止が無効とされる場合がある。(契約書の確認を行う際の無駄が分かるため、変更できない条項が何かは確認する必要がある)

 そのため、例えば、プロ野球の統一契約書第3条の稼働期間として2月1日から11月30日までの間の稼働と規定されている点については変更することができない(なぜなら、この間はプロ野球の興行期間だからである)。一方、プロ野球の統一契約書第4条で空欄にされている報酬額については、弁護士などが介入して変更を求めることができる。

 

スポーツイベントの主催者に関する契約

 こちらも選手との契約と同様に競技の観点から変更する観点から変更できないこともある。

①イベント参加契約

 スポーツイベントの主催者と参加選手やチームとの間で、スポーツイベントに参加するための契約を締約することができる。

②施設利用契約

 主催者がスポーツイベントを行う施設との間で結ぶ賃貸借契約である。

 

スポンサーとの間の契約

 スポンサー契約とは、企業がスポーツイベント等に協賛し支援する目的で金銭ないし物品を提供し、その見返りとしてその企業の宣伝広告販売促進をするための便宜を受けることのできることを内容とした契約である。なお、このすぽんさいー契約については、チームだけでなく、選手との間で模型やされることがある。

 なお、オリンピックに関しては、(厄介なことに?)1業種1社のルールが定められており、スポンサー以外のスポンサー企業はオリンピックのマークなどを使用することができない。

 

商品化契約

 企業側は製作者に一定額の使用料を支払うことによってそのキャラクターを利用して販売広告を行うことを内容とするものである。スポーツ関係では、スポーツ関係者の名前が使われたり、写真が使われたりする。

 

放送権契約

 主催権に基づいてスポーツイベントを主催する団体が放送事業者に対して試合の中継を許可する権利のことを指す。

 なお、最近では民放各局だけでなく、インターネット配信事業者との間で契約が結ばれることがある。

 

契約に関しては法分野としてエンタテインメント法が似ている。そのため、エンタテインメント法を参考にしながら考えるとよい。

 

 

 

 

*1:労働組合法上の労働者概念と、労働基準法上の労働者概念は違うため、このように契約上労働者じゃなくても労働組合を作ることは認められる。プレップ労働法 第6版 などを参照してほしい