スポーツ法まとめメモ(7)

今回は法人法についてまとめていく。

法人法というと聞きなじみがないが、会社法や、一般社団法人法などにかかわる法律分野のことである。

 

標準テキスト スポーツ法学 第3版

標準テキスト スポーツ法学 第3版

  • 発売日: 2020/05/07
  • メディア: 単行本
 

 

 概説

  法人とは、法律によって権利義務の主体として認められた存在のことを指す。法人でないものとして大学サークルなどの権利能力なき社団がある。

 法人の種類として、会社、一般社団・一般財団、特定非営利法人、公益社団法人がある。法人法とは、このような法人や法人格のない社団の設立や運営のルールを定めた法律の総称である。

 スポーツ団体の規模には差異があるため、それぞれの団体の規模にあった団体運営が行われるべきであり、団体の規模に応じた運営のルールが定められることが望ましく、定款自治が行われている(一方、法律によって直接規制される団体として日本中央競馬会がある)。

 法人の運営に関しては、団体自治の原則に基づいて、定款や諸規則をはじめとする団体運営のための内部ルールを自ら定めて、団体運営を行わなけれ、法人法の内容やその背景にある考えを理解したうえで運営しなければならない。しかし、今日では、スポーツ団体の団体運営には、スポーツを行うものの権利の保護、三泰運営の透明性の確保、団体運営の透明性の確保、迅速かつ適正な紛争解決などのグッドガバナンスが求められるようになっている。

 法人を理解するにあたっては、スポーツ団体の構成員や業務執行者、法人法の背景にある考え方を理解する必要がある。

 

会社法

  会社法とは、株式会社等の設立や組織運営について定めた法律である。

 株式会社は株主を構成員として対外的経済活動で得た利益を構成員に分配することを目的としている。

 株式会社は、取締役が業務執行をして、株主や、監査役が分配方法や会社の財産について監視を行う。

 株主などの責任追及の手段として、会社法423条に基づく会社の役員に対する損害賠償請求がある。

 このような形態の法人のスポーツ団体として、日本プロフェッショナル野球機構などに参加しているプロスポーツクラブがある。

 

一般法人法

  一般社団法人及び一般社団法人に関する法律に基づいて設立された団体である。

 一般社団法人は二名以上の社員を構成員とする法人である。この社員が法人の意思決定と業務執行を行う。また、社員が相互に監視を行う。

 このような形態の法人として、日本野球機構日本ゴルフツアー機構等の団体がある。

 

公益社団法人

  一般社団・財団法人のうち、主に公益目的事業を実施する法人で、行政庁が基準を満たしたと認定した法人を指す。

 ただし、この形態は、法令違反があった場合、内閣府交易認定当委員会から、公益社団・財団法人に対し、報告徴収、勧告、公益認定の取り消しなどの不利益処分を受けることがある。

 この例として、日本オリンピック委員会がある。

 

権利能力なき社団

  権利能力なき社団とは、法人として未登記であるが、実態として法人と同様の活動をしている団体を指す。

 この団体として認められるためには、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならない。

 このような形態の場合、財産は構成員の総有となり、管理されなければならない。

 このような組織の例として、大学のサークルがある。