スポーツ法まとめメモ(9)
スポーツに関する知的財産に関する問題をまとめます。
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概説
知的財産法とは、大まかに情報を保護する法律群である。情報は具体的な形を欠くため無体物といわれる。
知的財産として、著作権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、営業秘密、パブリシティ権、肖像権がある。
スポーツコンテンツの保護のためにこれらを使いこなしていく必要がある。そのため、これらの権利ごとに検討していく。
スポーツと著作権
著作権は、表現を保護している。ただし著作権法上保護される著作物といえるためには、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)でなければならない。
例えば、スポーツそれ自体は単なる事実であって創作的に表現されていないため、著作物に当たらない。しかし、民放各局のカメラで撮られた場合、その放送局の表現が入っているため、著作物として認められる。
振り付けについては大阪地裁平成30年9月20日判決のように著作物性が認められることがある。ただし、ありふれた振り付けでないことが要求される。
スポーツ団体の公式キャラクターについても著作物性が認められる。このキャラクターとは、人物などの特徴自体ではなく、イラストなどの具体的表現に限られる(ピカチュウのイラストには著作物性が認められるが、黄色い電気を放つネズミでありサトシという少年になついているという特徴自体には著作物性が認められないといったようなことである。)。
スポーツと商標権
商標権とは、商品やサービスの目印として用いられるマークに化体した信頼を保護している権利である。権利として保護されるためには、特許庁への登録が要る。
商標権として保護されるものの例として、阪神タイガースのマークや、ジャイアンツのキャラクタージャビットくんなどがある。
スポーツと不正競争防止法
不正競争防止法は事業者間の公正な競争の確保のために制定された法律であるものの、周知の商品表示の混同惹起行為を保護することなどにより、情報を保護している。
周知の商品表示とは、例えば、商標登録はされていないものの保護されるべきマークなどが対象となっている。
スポーツとパブリシティ権
パブリシティ権とは氏名・肖像等の有する顧客吸引力を排他的に支配する権利である。ただし、この権利は人格権であるため、人にしか認められない。そのため、ウマの名前については保護されておらず、Winning Post 9 2020などで名馬の名前を速い競走馬の情報に使ってもパブリシティ権の侵害にならない。
人に認められたパブリシティ権の利用の例としては、例えば、実況パワフルプロ野球などで、ホームランを打つような選手の情報に筒香嘉智選手と名付けることなどである。