司法試験についての感想

昨日は私法試験会場のコロナ対策について書いてみましたが、今回は司法試験の問題についてのざっくりとした感想を書いていきます。

 

新・司法試験予備試験に独学合格する方法

新・司法試験予備試験に独学合格する方法

  • 作者:鬼頭 政人
  • 発売日: 2019/09/11
  • メディア: 単行本
 

 全体的に見て

全体的に見て、出題の仕方は去年と一緒でした。

出題の仕方は3年に一回は変わっている可能性があります。なので、今年まで同じ傾向で出したのだと思います。

知的財産法

僕の選択科目は知的財産法でした。

パッと見て、特許法は解きにくいと感じたので、著作権法から解くことにするほどでした。

第一問設問1は特許を受ける権利についての問題で、誰に特許査定を与えるかということが問題になっているようでした。そのうえで、解除によって、特許を受ける権利は移転するのかということが主として問題になっているようです。

第一問設問2は発明要件についての問題でした。発明要件について要件を覚えていれば、簡単な問題かもしれませんが、解けたという自信はありません。

第一問設問3はFRAND宣言と差し止め損害賠償請求の問題でした。知的財産法でFRAND宣言はこれまで出ていなかったので、面白い問題になっていたのではないかなと思います。

第二問設問1は二次的著作物と差し止め請求の問題でした。キャンディキャンディ事件を押さえておくといいのではないでしょうか。

第二問設問2は引用を理由とする著作権の制限についての問題でした。絵画鑑定証書事件をモデルに問題が作られているようでした。

第二問設問3は、侵害主体論の問題でした。クラブキャッツアイ事件やロクラクⅡ事件を押さえておくとよかったように思えます。

憲法

7年ぶりに経済活動の自由、職業選択の自由からの出題でした。規制①については職業選択の自由営業の自由の問題として解くとよいのですが、規制②については何を書いたらいいのかわからず困りました。移動の自由と平等原則、あとは不明確ゆえに意見の法理を書かせたかったのかな?

行政法

全体的に難しかったです。

設問1(1)は処分性の問題でした。大田区ゴミ処理場事件の定式に当てはめればわかるのではないのかなあと。あとは、病院開設勧告事件とかを使っていたのかもしれないのです、この事件のようには書きませんでした。

設問1(2)は難問です。本件申出書については「返送」されているのでこれをどう見るかが分かりませんでした。不作為違法確認の訴え?どうなんでしょうね?

設問2は行政裁量の問題かな?ここはいつも通りかもしれませんね。

民法

いきなり改正民法から出すなよといった感じの出題でした。

設問1は減額の主張なので売買契約の担保責任、債務不履行による損害賠償請求との相殺を考えるべき問題のように思えました。問題では債権譲渡がされているため、債権譲渡の改正後の民法の規定についても注意を払うべきかなあとも思えますね。

設問2は、囲繞地通行権の問題でした。(1)は民法213条に基づき書けばいいのですが、(2)は何と何が対立しているのかわかりませんでした。なのでその場での思い付きの作文になってしまいました。

設問3は代理権と日常家事債務、代理権と相続の問題に読めました。今回、Gは無権代理人ではない点をどう見るか、Bを救うためにはどのような主張を行うかという点は注意を払う必要があったんじゃないかな?と思いました。

商法

設問1は、新株発行の無効や新株発行の差し止めを考える問題でした。種類株式であることは気にはなります。定款変更と株主総会決議の違法を理由に取り消されることをどう考えるか?難しい問題ですね。

設問2は、株式併合に関する問題でした。(1)が(2)の問題を考えるための誘導になっており、併合の差し止め、株式買取請求について考えれば足りたのかなあ?と思います。

民事訴訟

設問1は訴えの利益に関する問題でした。将来給付の訴えと確認の訴えの要件を考えればいいのですが、将来給付の訴えは要件があいまいになってしまったため、上手く解けなかったように思います。確認の訴えについては、何を確認すべきなのかということが大問題となっているようでした。判例は敷金返還請求権の存在確認の訴えについてのものが有名なのですが、その確認の訴えでいいのか気になってしまいました。

設問2は僕が勝手に興奮して落ち着こうとなった問題です。ここは弁論主義の第一テーゼについて書いておくといいんじゃないでしょうか?(英米法のwithout prejudiceルールなんて知らなくていいですし、たぶん関係がないです。)

設問3は、共同訴訟についての問題ですね。固有必要的共同訴訟か通常共同訴訟か迷ってしまいました。あとは、証拠共通の原則の問題なのかな?

刑法

これまでの出題形式と同じですが、順番だけ変えてきたようですね。

設問1は恐喝と詐欺の区別、被害額の計算に関する問題でした。被害額の問題はパチンコ店での窃盗の事例が有名ですが、債権額を超えた恐喝についても判例があったと記憶しています。

設問2は設問3のための誘導かなと思いました。不能犯であること、因果関係のないこと、因果関係の錯誤であること、中止犯であることの主張が考えられるのですが、中止犯以外を書きました。

設問3は設問2を踏まえて強盗殺人罪の検討をすればよいのかなと思いました。人を殺すことと財産的利益を得たことの認定は実は簡単ではないのでそこも深く書いておけばいいのではないかと思います(例えば、銀行からお金を借りた人が銀行の職員を殺しても債権の免除を受けたことにはならないという問題がありますよね?)。

刑事訴訟法

思想信条の自由を侵害して違憲。なんてことは言いたくないのですが、出題者としては違法であるとの結論になるように書いてほしい問題なのかなと思いました。

設問1は徹夜の取り調べについての問題でした。これは高輪グリーンマンション事件と平塚事件の両方を押さえていたら、適法とは言いにくいのではないかと思います。

設問2は自白法則と違法収集証拠排除法則についての問題でした。(1)は違法排除二元説、一元説について書いておくといいと思います。不任意自白、黙秘権侵害による自白を違法に含めるか含めないかはおそらく自由なのですが、少なくとも不任意、黙秘権侵害、違法収集証拠排除法則の三点は書いてほしいのではないでしょうか?(2)は自白法則と違法収集証拠排除法則のあてはめをすればよいように思います。

設問3はいわゆる前科立証に関する問題でした。犯人の悪性格から犯人性を認定するか、犯罪の類似していた事実から犯人性を認定するかという立証過程を考えて書くとよいと思います。

短答

民法が難しかったです。憲法、刑法の時間には「ここで50点取れ」と何度も心の中でつぶやいていました。

 

 

 

(司法試験も終わったしゲームしてえな )