『法服の王国』を読みました

法服の王国 小説裁判官』を読みました。上下巻あるのですがどちらとも読んでみました。

この本は大学時代に先生に勧められていましたが、今読んでみました。

 

法服の王国 小説裁判官(上)

法服の王国 小説裁判官(上)

 

 この本は大きくは裁判官が裁判所に入り、最高裁判事に任命されるまでの物語です。

時代背景としては、昭和40年(1965年)から東日本大震災原発事故が起こるまでです。そのため、その間に青法協問題が起こったり、学生運動の時代の荒れた法廷の描写が出てきたり、住基ネット訴訟が起こったり、東日本大震災原子力発電所の倒壊が起こったりします。

この本はこの間の裁判官の昇進をテーマに書いているため、裁判官の昇進システムや、その間の権力闘争、判決書をどう描くかといった裁判所の内部事情を知ることができます。そのため、これから裁判官や最高裁判所判事を目指すという人だけでなく、法曹になりたい人にもお勧めできる内容となっています。

また、筆者が原子力発電所の操業自体に対して批判的なのか、伊方原発を建設するにあたり、四国電力がいかに地元の人たちを分断し、要らないもの、危険なものを建設したのかという点にも触れられ、東日本大震災で危険なものとしての原子力発電所があらわになったということにも力点が置かれているように感じます。そういう意味では、原子力発電所によるエネルギー行政に関心がある人も読んでみるとよい一冊だと思います。