ロープラ商法の事例③の解答を上げておきます
以下のように考えた
原則 本件支払いはXとY2との間の賃料債権に基づくものであるため、原則としてY1が支払い義務を負うことはない。
例外 しかし、会社の法人格は準則主義により容易に取得でき、かつ、その実質が会社の背後にいるものである場合があるため、法人格が全くの形骸に過ぎない場合、またはそれが法律の適用を回避するために濫用されるような場合には法人格を否認することができると解されている。このように法人格が否認された場合、法人の背後にいるものが責任の主体となる。
→本件事案において法人格を認めることが権利の濫用にあたる場合であると認められる事情はない。また、法人格が形骸化しているという事情はない。
そのため、自分は以下のように答案を書いた。
1. XはY1に対して、XのY2に対して有する賃金請求権に基づく本件支払いを求めているが、Y1とY2は法人格が異なるため、原則としてXはY1社に対して賃金の支払いを請求できない。
しかし、会社の法人格は準則主義により容易に取得でき、かつ、その実質が会社の背後にいるものである場合があるため、法人格が全くの形骸に過ぎない場合、またはそれが法律の適用を回避するために濫用されたといえる場合には法人格を否認し、その背後にいる者に責任を負わせることができるとされている。
本件事案において、Y1社がY2社を設立したのはY1社の関東地方における拠点づくりのためであり、Y1社の使用人の賃金の支払いの回避ではないため、Y2社の設立を濫用したとはいえない。また、Y2社はY1社が100%出資して設立し、現在のところ、Y1社の代表取締役がY2社の代表取締役であるという事情があっても、もともとの代表取締役はQではなくPであり、Y2社もオリンピックのための公共事業の受注ができなかったといえども、経営の実態はあるため、Y2社の法人格は形骸化していたとはいえない。
2.したがって、XはY2の法人格を否定することができないため、Y1社に対して本件支払いを求めることはできない。