今回、下書き部分と答案部分がわかりやすくなるように書いてみました。
下書き部分は、どういう順で書くとよいかという参考になるかと思って載せています。
下書き
設問(1)
会社設立に必要な費用は当然に会社に効果が帰属する。
しかし、開業準備行為、事業行為についてはこれに含まらない。
→本件事案におけるマンションの売買契約は、開業準備行為に当たり、会社設立に必要な費用として当然にその効果が会社に帰属することにはならない。
次に、会社法28条によれば、各号記載の行為について、定款に記載した場合には、その効果は、会社に帰属する。
→本件事案における、マンションの売買契約は、会社法28条2号にいう現物出資に当たる。しかし、現物出資として定款に記載していないため、その効果は会社に帰属しない。
したがって、会社は売買契約の効力が会社に帰属しないことを主張できる。
設問(2)
開業準備行為は会社に効力が帰属しない。この主張は、最高裁昭和28年12月3日判決によれば、「単に財産引受は会社の保護規定であるから、会社側のみが無効を主張せるということはでいない。この無効の主張は、向こうの当然の結果として当該財産引受契約のいずれの当事者も主張できるものである」と判断しているため、Xも財産引受の効力は無効であることを主張できる。
答案
設問(1)
1.売買契約の効果の帰属
(1)会社法上、設立中の会社に法人格はないため、設立中の会社に法律効果を帰属させることはできないが、会社設立後、さかのぼって会社に法律効果を帰属させることができる。この会社に帰属させることのできる法律行為の範囲は、会社設立に必要な行為であり、開業準備行為、会社の事業行為は含まれない。
本件事案において、Y社の発起人であるAはYの鍼灸治療用施設として、分譲用マンション1階部分の全室を5億円で購入しようとしているが、この行為は、会社設立後の事業を円滑に行うための開業準備行為であるため、会社設立のために必要な行為として、法律効果を当然に会社に帰属させることはできない。
(2)次に、会社法28条によれば、開業に必要な行為でなくとも、各号の事項を定款に記載した場合、その定款に記載された法律効果の効力を会社に帰属させることができる。しかし、本件事案において、Aの分譲マンションの購入について、会社法28条2号により、低下に記載していないため、これによってY社に分譲用マンションの売買契約の効力を帰属させることはできない。
2.したがって、Yは当該マンションの売買契約の効力がY社に帰属していないことを主張できる。
設問(2)
1.売買契約の効果の帰属
本件事案における売買契約の効果は先述の通りYに帰属していない。
しかし、財産引受は会社の保護規定であるため、会社側からのみしか無効を主張することができないとは言えない。そのため、分譲マンションの売買契約の無効を売買契約の相手方であるXも主張できる。
2.したがって、YはXに対してマンションの引き渡しを請求できない。