ロープラクティス商法 事例14

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ここ数日イベント続きで遅れてしまいました。

 

Law Practice 商法〔第3版〕

Law Practice 商法〔第3版〕

 

 

 

下書き

契約による株式の譲渡制限は会社法127条及び公序良俗に違反し無効か

名古屋高裁平成3530日判決によれば、会社法127条の規定は、会社と株主との間でここに締結される株式の譲渡等その処分移管する契約の効力について直接規定するものではないから、本件合意が、譲渡先と譲渡価格の点において株式譲渡の自由を制限するものであることを十分に考慮してもそのことの故をもって、直ちに本件合意が同規定に違反するものであるとは断定できないと判断されている。

譲渡先を契約によって限定することは、自由な意思によって制度の趣旨を了解して株主となった者と会社との合意によって、譲渡先を制限することは、法令上禁止されていない。そのため、契約によって株式譲渡の制限をすることができる。

→本件事案において、Xは本件合意の趣旨と内容を理解したうえで契約を締結しているため、会社法127条及び民法90条に違反しているとはいえない

 

また、契約の内容についても、株主の投下資本回収を著しく制限する不合理なものであるといえない限り会社法127条及び公序良俗に違反しない。

→本件事案における合意の内容も、会社の合意によって投下資本の回収を図ることのできるものであるため、会社法127条及び民法90条に反しない。

 

答案

1会社法127条によれば、株式の譲渡は自由であるとされているものの、会社法127条は会社と株主の間の個々の契約の効力について直接に規定したものではないため、株式の譲渡制限を定めた契約があったとしても、自由な意思により、制度の趣旨を理解して株主となったといえるかぎり会社法127条及び民法90条に違反した契約であるということはできない。

 本件事案において、XYの従業員であった者であり、平成8年ころから平成2173日にかけて、この制度の趣旨内容を理解したうえで株式を取得しているため、XYとの間の合意は会社法127条及び民法90条違反といえない。

 したがって、本件合意自体は会社法127条及び民法90条に違反しない。

2.次に、合意の内容については、株主の投下資本回収を著しく制限する不合理なものであるといえる場合には、会社法127条及び民法90条に違反した内容の契約として無効となる。

 本件事案における合意の内容は、退職に際して、同制度に基づき取得した株式を取得価格と同じ11万円で取締役の指定する者に譲渡する旨の合意であった。この合意の内容は、取締役の合意が要るため、株式譲渡の制約となっているとはいえ、株式譲渡の一切を制限するものとはいえないため、株主の投下資本回収を著しく制限するものとはいえない。

 したがって、合意の内容についても会社法127条及び民法90条に違反せず本件合意の効力は無効であるとはいえない。