司法試験予備試験平成29年憲法

財産権についての書きぶりが気になったため、平成29年予備試験憲法の問題を解いてみました。

書きぶりにおかしな点があれば、コメントしていただけると幸いです。

 

予備試験短答式3か年問題集(法律基本科目)平成27~29年度

予備試験短答式3か年問題集(法律基本科目)平成27~29年度

 

 

 

第一.本件条例の合憲性

1憲法291項は、財産権を保障しているが、この憲法291項によって保障される財産権は私有財産制のみでなく、国民個人の財産権も保障する趣旨の者であるとされている。

2.しかし、憲法29条の財産権は憲法292項によって法律で定めることが予定されていること、また、財産権の行使については、社会相互関連性が強く、また、この財産権に対する目的として、社会経済目的や、警察目的まで多様であり、財産権の制約の方法としても多数の手段が考えられる。そのため、財産権に対する制約については、立法裁量が広く認められているということができ、裁判所は立法裁量を尊重した形で法令の合憲性を判断することになる。

 また、本件事案において問題となっているのは、本件条例によるXの廃棄、すなわち農家がXの所有権を失わされる点にある。

 そのため、裁判所としては、A県の立法裁量を尊重し、本件条例の定める規制の手段が立法権の裁量を逸脱しもしくは濫用したかを判断することになる。

3.本件事案においてA県は、Xのブランド価値の保護のためにXの流通量を調整し、一定以上の価格で安定して流通させ、A県産のXのブランド価値を維持し、もってXの生産者を保護するための本件条例を制定しているが、本件条例は、最大許容生産量を上回る場合にXの廃棄を命ずるものであり、所有権に対する制約を生じさせている。このような制度をとることについては合理的な理由がなければならない。

 確かに甲は特別の栽培法を開発し、天候に左右されない高品質のXを一定量生産し、Xの生産量が著しく増大した20XX年においても、平年並みの生産量で生産することを可能にしていた。そのため、条例の制定過程におけるXの事前の生産調整が困難であるとの説明も理由がないように見える。しかし、甲の生産方法は特別なものであり、他の生産者はこのような生産方法を導入していないことからすれば、条例制定過程におけるA県の説明も20XX年において理由がないものとはいえない。

4.そのため、20XX年において、甲がXの特別の栽培法を開発した時点においても、本件条例がXのブランド価値保護のため、Xの全生産量に占める最大許容生産量の長文の割合と同じ割合でXの廃棄を命じ、それについてA県が大執行できるとした本件条例は憲法291項に違反しないといえる。

第二.損失補償

1憲法293項は個別法規に規定がなくとも、法に基づいて、個人に対して、特別の犠牲が生じた場合に、その損害の性質に応じて直接個人の損失補償を認める規定になっている。

 本件事案において、甲は本件条例に基づきXの廃棄を命じられた者である。しかし、本件条例によってXの廃棄を命じられるものは、A県のXの生産者全員であり、甲に特別の損害が生じるという事態にはなっていない。

2.そのため、甲はAに対して憲法29条に基づく損失補償を求めることができない。

 

憲法ガール Remake Edition

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憲法ガールII

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