今回の答案は賃借権の時効取得についての理解が不十分なため、おかしなことを書いてしまっています。
あと、改正民法605条の2の部分もおかしなものとなっているのではないでしょうか?
他に気になるところがありましたらコメントにお願いします。

司法試験 論文過去問答案パーフェクトぶんせき本〈平成29年度版〉
- 作者: 西口竜司,柏谷周希,原孝至
- 出版社/メーカー: 辰已法律研究所
- 発売日: 2018/04/01
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設問1
1.BはCに対して、土地所有権に基づく返還請求として甲1部分の明け渡しを求めているが、これに対してCがどのような主張をすることができるか検討する。
2.まず、CがBの賃借権を時効取得したことを主張すると考えられる。
(1)民法162条2項は、所有権の時効取得をすることができると規定しているものの、民法163条によれば、所有権以外の財産権であっても所有権と同様に時効取得することができるとされている。
そのため、賃借権を時効取得するためには、①賃貸借契約の締約の時点、②締約から10年間の経過、③時効の援用が必要とされる。また、この際、賃借権を受ける意思がなければならないとされる。
(2)本件事案においてCは平成16年9月15日に甲①土地を含めた本件土地について賃貸借契約を締約しており、それから10年後の平成26年9月15日時点でもAとCとの間で賃貸借契約を締約している。また、民法145条に従い、賃借権を取得したとの時効の援用も行っているため、Cは甲1土地について、賃借権を時効取得することができる。また、Cには甲1土地の賃借権を受ける意思が認められる。
(3)したがってCは甲1土地についての賃借権を時効取得し、Bに対抗することができる。
設問2
1.AはCに対して、本件土地賃貸借契約の解除をおこなおうとしているが、可能であるか検討する。
2.民法612条2項によれば、無断転貸があった場合、賃貸人は賃貸借契約を解除することができるとされている。
本件事案において、Cは丙賃貸借契約を締結し、その契約の中で甲2土地についてDの診療所の患者用駐車場として利用することを確認している。この項2土地の利用はCがDに建物だけでなく、乙土地の利用を許すことを内容とするものであるため、Cは甲2土地についてDに転貸させることも内容としているということができる。
そのため、②の事実から、Cは乙土地をDに無断で利用させたということができるため、民法612条2項により、AとCとの間の本件賃貸借契約を解除することができる。
3.民法601条以下に規定される賃貸借契約というものは契約当事者間の信頼関係が重要であるため、賃借人は賃貸人との間で、その信頼関係を破壊しないようにするための信義則上の義務を負っているとされる。
そのため、賃借人が賃貸人との間の信頼関係を破壊するような態様で、目的物の利用を行った場合、民法542条1項3号により賃貸借契約を無催告で解除することができるとされる。
(2)本件事案において、CはDに丙建物を利用させているが、このように借地上の建物の利用者が変更された場合、実質的に契約の当事者が変更されることとなるため、契約当事者間の信頼関係が破壊される。そのため、Aは民法542条1項3号に基づきCとの間の本件土地賃貸借契約を解除することができる。
(3)そのため、Aは①の事実から、AはCとの間の本件土地賃貸借契約を解除することができる。
設問3
1.EはCに対して本件土地所有権に基づく返還請求として、丙建物収去土地明け渡し請求を行っているが、Cはこれに対し、賃借権を対抗することができるか検討する。
2.民法605条の2第1項によれば、不動産の賃貸人たる地位の移転を主張するためには、借地借家法の規定により対抗要件を備えていなければならないとされる。
本件事案において、CはAとの間で使用目的を診療所用の建物の所有とする本件土地賃貸借契約を締結しており、Cは土地上の丙建物について、所有権保存登記を行っていることから借地借家法10条1項の建物所有に関する登記を行っていることから民法605条の2第1項により、AからEへの賃貸人たる地位の移転が行われたということができる。
3.したがって、CはEとの間で本件土地について、賃貸借契約を締結しその借地権を有しているということができるため、CはEに対して、賃借権を対抗することができる。