平成28年司法試験行政法

司法試験平成28年行政法の答案を書きました。

違法性の承継の部分の規範がうまく書けていないように思います。

他に何かおかしなところがありましたら、コメントにお願いします。

 

平成28年司法試験 論文過去問答案パーフェクト ぶんせき本

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  • 作者: 辰已法律研究所,西口竜司,柏谷周希,原孝至
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  • 発売日: 2017/04/01
  • メディア: 単行本
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設問1

1行政事件訴訟法91項によれば、原告適格が認められるためには法律上の利益がなければならないとされている。この法律上の利益は専ら公益を保護するにとどめず、毛別的具体的な利益を保護すると認められるものであると認められれば良いとされる。

2.本件訴訟1の処分の根拠法令である建築基準法481項によれば、良好な住環境を保護する規定であるとされているものの、同条14項によれば、許可する場合において、建築審査会の同意を得なければならないとされている。この建築審査会においては、建築基準法792項によれば、委員には公衆衛生についての知見を有するものが含まれるとされ、さらに481項但書の許可を審査するにあたっては、騒音、ライトグレアを防止すべきとする許可基準が参照されることから、周辺住民の健康・身体も保護しているものと認められる。

 本件事案におけるX1は本県自動車車庫に隣接して居住する住民であることから、騒音、ライトグレアによる健康被害が生じるおそれのある者ということができる。一方X2には確かに騒音のおそれはあるものの、本件自動車車庫から離れており、主張する被害も専ら環境に関する事項にとどまっている。そのため、X1は法律上に利益を有する者ということができるものの、X2は法律上の利益を有する者と認めることはできない。

3.したがって、X1には原告適格が認められるが、X2には原告適格は認められない。

設問2

第一.本件例外処分手続きの適法性

1.まず、Xらは、Y1市建築審査会の本件同意に係る議決にA実弟であるBが加わっていたことを理由とする建築基準法82条違反の主張を行うことが考えられる。

2建築基準法82条によれば、委員のうち、自己又は三親等以内の親族の利害に関する事件について、議決することはできないとされる。これは決議手続の違法に関する事項であることから、この違法によって結論が変わりえた場合でない限り、取り消すことのできる違法として認めることはできないとされる。

 本件事案において、A代表取締役の実定Bが委員に加わり賛成票を投じているが、A社というものは株式会社であり、所有と経営の分離は行われているものの、代表取締役というものは、会社の経営について大きな利害関係を有するものである。そのため、Bにとって2親等以内の親族である兄が代表取締役を務めるA社の事件は3親等以内の親族の利害に関する事項であるということができる。にもかかわらず、Bは議決に参加し、賛成票を投じていることから、建築貴人法82条違反の行為を行っているということができる。

 しかし、建築基準法79条によれば委員は5人以上であり、7名が選任され、5名による賛成で本件同意が行われたこと、Bを除いても42過半数で可決されていたことから、Bが議決に加わったということは取消しうべき違法ということはできない。

3.したがって、法82条違反の主張を行っても、本件例外許可が違法絵であると認めることはできない。

第二.裁量の逸脱濫用

1.次に建築基準法481項但書の本件例外許可を行うにあたって、Y1市長による裁量の逸脱濫用があったとの主張が考えられるため、検討する。

2建築基準法481項但書の例外許可を行う際には良好な住環境、公益等の事情や、健康被害に発生に関する科学的事情を検討せねばならないことから、判断に際しては高度の専門的判断を市町が行わなければならない。そのため、市長には建築基準法481項但書の例外許可を行う判断に当たって裁量を有しているということができる。

 本件事案において市長は、例外許可を建築基準法481項但書に基づいて行っているものの、その判断は重要な事実誤認を行い社会通念上を打とうといえない判断を行い、違法な行政処分を行っているということができる。なぜなら、建築基準法481項但書に関する裁量基準である許可基準によれば、騒音防止のために遮音壁の設置を行うことと、ライトグレア防止のために目隠し板などの設置がなされることが条件であるにもかかわらず、これらの措置を行わずに例外許可処分を行っているからである。

3.したがって、本件例外許可処分は裁量の範囲を逸脱した取り消されるべき違法があるということができるため、Y1の例外許可処分は違法無効なものであるということができる。

設問3

1.本件訴訟2において本件例外許可の違法を主張することは原則としてできない。なぜなら、本件例外許可と、本件確認というものは別個の処分であり、本件確認は適法な本件例外許可処分の前提としているからである。

2.しかし、例外的に二つの処分が同一の行政庁による処分であり、二つの処分が一連一体の処分であると認められる場合で、違法を主張する機会が後行の行政処分の際にしかなかったと認められる場合にのみ、先行する処分の違法を主張することができる。

 本件確認の根拠規定である建築基準法6条の2第1項は、建築基準法48条の処分を前提としておらず、一連一体の処分であるということはできないため、本件確認の違法性を争う際に本件例外許可の違法を主張することはできない。

3.したがって、本件訴訟2において本件訴訟Ⅰの違法を主張することはできない。

設問4

1.Yらは、本件スーパー銭湯建築基準法別表第二()項第7号の「公衆浴場」に該当するとして、確認処分を行っているものの、このような行政庁の処分には「公衆浴場」の解釈を誤った違法があるということができる。

2.建築基準法が制定された当時公衆浴場というものは住宅に内風呂がないもののための施設であり、小規模の銭湯を対象としている。また、スーパー銭湯は公衆浴場法でも銭湯と区別されて、規制されているということができる。そのため、建築基準法でも公衆浴場としての銭湯、その他公衆浴場としてのスーパー銭湯は区別されており、建築基準別表第二()第7号の公衆浴場とは異なるということができる。

3.したがって行政庁の判断には法令の解釈を誤った取り消さレうべき違法があるということができる。