司法試験平成28年民事訴訟法

司法試験平成28年民事訴訟法を解きました。

採点実感の理解と異なるため、この答案では、非常に低い点しかつかないと思いますが、公開しておきます。

 

平成28年司法試験 論文過去問答案パーフェクト ぶんせき本

平成28年司法試験 論文過去問答案パーフェクト ぶんせき本

  • 作者: 辰已法律研究所,西口竜司,柏谷周希,原孝至
  • 出版社/メーカー: 辰已法律研究所
  • 発売日: 2017/04/01
  • メディア: 単行本
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設問1

1権利能力なき社団であるXは、抵当権者のYに対して総有権確認の訴えを手意識しているが、この訴えの性質について検討する。

 入会権というものは入会の構成員一人一人が、土地の入会権につき、自由に使用収益処分することのできる権利のことを指すものの、入会権の確認を求めるためには、その土地の入会権者一人一人の権利を一度にする形で訴えを提起しなければならない。そのため、入会権の確認の訴えというものは民事訴訟40条に基づく固有必要的共同訴訟としての性格を有するといえ、原則として全員賀原告とならなければならない。

2.もし構成員の中に訴えの提起に反対する者がいた場合、その者は、Xの構成員のうち、入会権を主張するものの権利行使を妨げているということができることから、その者を被告に加えて、民事訴訟401項の固有必要的共同訴訟の形で総有権確認の訴えを提起することになる。

3.このような固有必要的共同訴訟の場合、新たな構成員が出現することも考えられ、上記のような総有権確認の訴えの性質から、新たな構成員も訴訟の共同訴訟人として参加しなければならなくなる。この場合、新たな構成員が原告らに同調する場合には原告の共同訴訟人として参加することになるが、原告らに同調しない場合には被告の共同訴訟人として参加することになる。

設問2

1Zは、XZに対する総有権確認請求と、Bへの所有権移転登記請求への反訴として、Zの解任決議が無効であることの確認の訴えを提起しているが、民事訴訟1461項に基づき可能であるか検討する。

2民事訴訟1461項によれば、反訴を提起するためには、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求であり、口頭弁論終結時までに主張し、それが著しく訴訟手続きを遅滞させるものでないと認められるものでなければならないとされる。

 本件事案におけるXZに対する訴えは、Xの本件土地所有権に基づく妨害排除請求としてのZからBへの所有権移転登記手続き請求であり、この請求原因として、Zが解任されたことを主張すると考えられる。

 Zはこの解任の事実を争うために、解任が無効であることの訴えを提起しなければならない。そのため、Xの請求とZの解任決議の無効は関連するということができる。

 また、このようなZの反訴は訴訟手続きを著しく遅滞させるものであるということはできず、さらにZは口頭弁論終結時までにこのような主張を行うと考えられる。

 よって、このようなZの反訴は民事訴訟1461項に基づき提起することができる。

3.次にZが解任決議が無効であることや、ZXの会長の地位にあることの確認を求める訴えの訴えの利益が問題となる。

 確認の訴えの訴えの利益が認められるためにはその権利が現存し、紛争を適切に解決するものであることが認められなければならない。

 本件事案において、Zが解任決議の無効と、ZXの会長の地位にあることの確認を自己の地位に基づき訴えているが、このような確認の訴えをBが行っているのは、Bの権利の前提となるBXの会長に就任したとの事実を現在争うことによって、Zが会長の地位にあることを前提としてXZに対する訴えが判断されるとともに、今後のXZ間の会長の地位に関する紛争の発生を防止することができるからである。

4.したがって、Zの反訴に訴えの利益が認められる。

設問3

1YZに対し債務不履行に基づく損害賠償請求を行っているが、Z債務不履行の事実として、YZに本件不動産の所有権が存在していなかったことを主張しようとしているが、このようなYの主張が前訴判決の既判力によって前訴判決の内容を前提として判断されるか検討する。

2民事訴訟1141項によれば、確定判決の既判力は前訴判決の主文について発生するものであるとされる。

 本件事案の第一訴訟において、Xは、Y及びZに対して本件不動産について自己に総有権が存在することを主張している。またこの第一訴訟においてXが勝訴していることから、本件不動産について、Xに総有権が存在していることが確定しているということができる。

 そのため、本件不動産についてXに総有権が認められるとの範囲で既判力が生じているということができる。

2.また、民事訴訟1141項に基づいて発生する既判力は、口頭弁論終結時までの時効について発生するものであることから、第一訴訟の口頭弁論終結時点で、Xに総有権が認められることについて既判力が生じている。

3.既判力の効力は、民事訴訟1151項各号の者に対して及ぶとされる。

 本件事案におけるYおよびZは、第一訴訟の共同被告であったことから、第一訴訟の確定判決の効力はY及びZにも及ぶということができる。

4.また、既判力の効力というものは前訴確定判決と先決関係、矛盾関係、同一関係にある事項に及ぶとされている。

 本件事案の第2訴訟において、YZに対して、債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟を行っているが、民法415条の債務不履行に基づく損害賠償請求を行うためには債務不履行の事実と、損害の発生の事実と、民法416条の因果関係が認められなければならない。このうち、Yが本件事案において、債務不履行の事実として主張しなければならないのは、Zは本件不動産の所有権をXより取得し、Yに移転させなかったという事実であり、前訴確定判決の既判力の発生する事実である本件不動産についてXが総有していることを全血としている。

5.したがって、YZに対する債務不履行に基づく損害賠償請求の理由である債務不履行の事実は本件不動産について、Xが総有していることを前提として判断しなければならない。