平成25年司法試験民法を解きました。
債務不履行に基づく損害賠償請求についてうまくかけていないような気がします。他にも何か気づいた点があれば、コメントにお願いします。
1.AはCに対し、AC間の保証契約の存在を理由として、保証債務履行請求を行おうとしているが、可能となるか検討する。
2.民法446条によれば、保証契約が成立するためには、①債権者と保証人の間に保証契約が存在すること、②主債務が存在すること、③①の契約が書面によること、④履行期が到来したということがいえなければならない。
(1)本件事案においてCは、BがAとの間でCを保証人とする旨を契約した後に追認しているが、Cは、BがAとの間で保証契約を締約するに際して、代理権を授与していない。
そのため、BはAC間の契約について無権代理行為を行ったといえる。
ただし、民法116条によれば、無権代理行為があったとしても、本人が追認すれば、契約が契約締約時にさかのぼって有効となる。本件事案においてCはBが無権代理行為としてしたAとの間の連帯保証契約を追認しているため、Cは、BのしたAとの間での無権代理行為に追認を行ったということができる。
(2)また、BはAとの間で甲土地の売買契約を結び、この売買代金債権を保障することを約しているのであるから、主債務が存在することが認められる。
(3)次に、民法446条2項によれば、保証契約は書面によらなければならないと規定しているがこのような規定を設けたtのが、保証契約というものが安易に結ばれてしまうと、保証人に不利益になるためであることと、書面によって証拠を残させることにより、保証契約の存在を担保し、保証人の保護をはかるためであるとされる。本件事案において、Bは書面にはCが連帯保証人となる旨を記載し、Cに後で追認を求め、Cの追認を受けているが、Cはこの際,書面に直接自署するなどしていないため、保証人の保護をはかるのに十分な手当てがされておらず、AC間の契約が書面によってされたとはいえなさそうである。しかし、CはBより契約書を示されており、AC間の契約内容を十分に知ることができたといえ、さらに、Cは契約の相手方であるAに対しても口頭で保証人となる旨の電話を入れているため、Cが自己の意思で保証契約を自署したものと同視することもできる。
よって、民法446条2項類推適用によりCは書面によってAC間の保証契約を締約したものと同視することができる。
(4)また、AB間の主債務の履行期は平成22年8月10日であり、履行期は到来している。
3.よって、AはCに対して保証債務の履行を請求できる。
設問2
1.BはFに対して、BがEに支払った亀裂の修繕費100万円の支払いを民法703条の不当利得に基づく返還請求として求めているが、可能であるか検討する。
(1)民法703条に基づく返還請求を行うためには、①損失が発生したことと、②それによって利益を受けたこと、③法律上の理由のないこと、④因果関係がなければならないとされている。
(2)本件事案において、BにはEに支払った100万円という損失が発生し、Fは、自身が注文者となってHに工事を依頼し、Hによって丙建物に損失を与えたにもかかわらず、修繕費用を支払うことなく丙建物の完全な利用という利益を得ている。
そのため、Bに損失が発生し、Fが法律上の原因なく利益を得ており、このBの損失の発生とFの利得との間に因果関係があるということができる。
(3)よってBはFに対して、不当利得に基づく損害賠償を行うことができる。
2.また、BはFに対してFが丙建物に存書を与えてはならない義務を負っているにもかかわらず、それに違反したことを理由として、民法415条1項の債務不履行に基づく損害賠償請求を行うと考えられる。
(1)民法415条1項に基づく損害招請請求を行うためには、①当事者間に債権債務県警の存在すること、②債務の不履行を行ったこと、③債務者の責めに帰すべき理由がなければならない。
(2)本件事案において、FはBとの間で賃貸借契約を締結しているため、FB間には賃貸借契約に基づく債権債務関係が存在しているということができる。また、賃貸借契約において、賃借人は、賃貸借の目的物を適切に使用する義務を負っているとされる。にもかかわらず、FはHに丙建物の内装工事を依頼するに際し、賃貸目的物を適切に使用する義務を怠り、損傷を与え、Bに100万円の損失を与えている。
よってFはFB間の賃貸借契約に基づいて生じる賃貸借の目的物を適切に使用すべき義務を負うにもかかわらず、自己の責めに帰すべき理由によりBに損害を与えたということができる。
(3)よってFは民法415条1項に基づいてBに対して損害賠償責任を負う。
設問3
1.DはBのGに対する賃料債権を抵当権に基づく物上代位として差し押さえたことを理由として、Gに平成24年10月分から12月分までの3カ月間の賃料債権90万円の支払いを請求しようとしているが、可能であるか検討する。
2.抵当権に基づく物上代位を理由として債権を差押え、それに基づく支払いを求めるためには、①債権の存在すること、②抵当権に及ぶ範囲にあること、③差押えを行ったことを主張しなければならない。
本件事案において、GのBに対する賃料債権の弁済期はいずれも到来しており、BのGに対する賃料債権というものもDが抵当権を有する丙建物により、発生した債権であることから、民法370条によりDの抵当権者の効力の及ぶ範囲の者に含まれるということができる。さらに、DはGに対する賃料債権の請求に先立ち、Gの賃料債権を差し押さえている。
そのため、DはGに対して、3ヶ月分の賃料債権の支払いを請求することができる。
3.これに対し、Gは、GのBに対して有する民法608条1項に基づいて発生した必要費の償還請求と相殺したことを主張すると考えられる。
(1)民法608条によれば、賃借人が賃貸借の目的物を契約の目的に適合するように使用するために必要な費用を支出した場合、賃借人は賃貸人に対して、必要費の証券請求を行うことができるとされる。
本件事案において、Gは丙建物の窓が台風によって損傷したことを理由として丙建物の2階の修繕を行っているが、この丙建物の2階の窓がないと、外気が副込み授業をする際に支障が出るため、2階の窓の修理にかかる費用というものは、Gが契約の目的に適合するように丙建物を使用するのに必要な費用ということができる。そのため、民法608条にいう必要費に該当する。
(2)また、民法505条の相殺を主張するためには、自働債権と受働債権が存在し、受働債権の存在時点で自働債権が存在したといえなければならず、相殺の意思表示を行ったといえなければならない。
本件事案において、Gは平成24年9月8日に30万円の修繕費用を支払っていることから、GのBに対する必要費の償還請求権は平成24年9月8日に発生したということができる。また、BのGに対する賃料債権も、平成24年12月7日時点で存在していたため、相殺適状にあったといえる。
(3)よってGはDに対して、相殺の意思表示を行うことによって報酬相当額から差し引いた60万円のみを支払う義務がある子主張することができる。
4.このようなGの主張に対してDは平成13年判例によれば相殺できないと主張しようとしている。しかし、平成13年判例というものの事案は、執行妨害をおこなっていることがうかがわれる事案であって、本件のように自然災害から損害が発生した事案と異なっている。そのため、本件事案のような場合には債権の相殺を期待することができる。
5.そのため、Dの反論というものは不適切であり、GはDに対して相殺を主張し、賃料債権の減額を主張することができる。
反省点
①書面性要件が要求される趣旨をきちんと押さえるべきであった。
書面によることが要求されるのは、内容をしっかり確認しないまま軽率に保証人になってしまうことを防ぐためである。
②履行補助者による過失の位置づけを確認するべきであった。
履行補助者の過失というものは履行補助者を用いた債務者の行為と同一視される。このことは債務者の過失についての反論に対する反論になる。
③賃借人の用法遵守義務について書くべきであった
用法順守義務は賃借人が民法594条に基づいて負う義務である。