『日本人の法意識』(岩波新書)を読みました

 日本人の法意識 (岩波新書)を読みました。

この本はややエッセイ的な色味があり、論理を追いにくい部分はありましたが、なんとかして読んでみたため、ブログにまとめておきます。

 

日本人の法意識 (岩波新書)

日本人の法意識 (岩波新書)

 

 

  著者がこのように、日本人の法意識について論じているのは、法の継受について考えるのに役立つとしています。この点については、現在、日本が発展途上国の法開発などをしていることを考えると、現代においても妥当しますし、現在考えるべき問題であるとも考えられます。

 そのうえで、歴史上の事情や、筆者の体験や、新聞記事などから、日本人の法意識としてどのようなものがあるのかを検討しています。

 例えば、日本人の所有権の意識については、現実に所有している場合に所有権を認めているようであり、さらに、誰のものかあいまいになっているものについては、誰のものでもないとして、西洋法的な所有権者の意思に反して他人所有のものを使い込む傾向があると述べています。

 ただ、この本について注意すべき点としては、日本人と民事訴訟の点において触れられている「日本人の訴訟嫌い」があります。この点については、比較法ハンドブック 第3版で反論されており、歴史的に見て、日本人の法意識として訴訟嫌いであったということはないとされています。そのため、この二冊については比較しながら読んでみるといいでしょう。

  また、実際の法の継受の状況については、ミャンマーの法と開発―変動する社会経済と法整備の課題―を読んでみるといいのではないかと考えられます。