2020年5月17日 勉強したことメモ

質権についてまとめていく

 

 

民法(全)(第2版)

民法(全)(第2版)

 

 

 

質権の成立要件

 質権の成立を主張するためには、①質権設定契約の存在と②質物の引き渡しがなければならない。

 なお、質権は即時取得をすることもできる。また、譲渡可能性のないものについて質権を設定することはできない。

 指図証券や記名式所持人払証券については、それぞれ証券の裏書と証券の交付が必要だが、それ以外の債権質権で債権証書が作成される者であっても、その証書の交付は必要でない。

 

質権の対抗要件

 これは、質権の対象によって異なる。

 1.動産の場合

  動産の占有継続がなければならない。同一の動産について複数の質権が設定された場合は、質権の順位は設定の前後によって決まる。

  質物の占有を失った場合、質権を対抗できなくなる。また、質権者が自己の意思で質物を返還した場合、質権を対抗することができなくなる。

 2.不動産質権の場合

  対抗要件は登記によって決まる。占有の継続ではない。

 3.権利質権の場合

  債権譲渡の場合確定日付のある証書による通知もしくは承諾である。

 

質権の効力

担保する範囲

 質権は民法346条によれば、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保している。(抵当権よりも担保される範囲が広い)

 質権を実行するためには、原則として民事執行法上の競売によらなければならない。

 しかし、民法354条によれば、動産質権の簡易な充当方法がある。動産質権については、物件価格が僅かである場合などの正当な理由がある場合であれば、裁判所の選任した鑑定人の評価に従って質物によって直ちに弁済に充てることができる。

 また、民法366条によれば、債権質権の簡易な充当方法がある。民法366条1項によれば、質権者は質権の目的物である債権を直接取り立てることができる。

 不動産質権の執行については民法356条に規定されていることから不動産収益執行を行うことができる。

留置的効力

 民法347条本文によれば、債務の弁済を受けるまで、質権を留置することができるとされている。

使用収益

 質権者は質物の使用収益を行うことができる。

善管注意義務

 質権者は善管注意義務を負う。また、質権設定者の承諾なく質物の使用主駅処分をしてはならない。

費用償還請求

  質権者は質物に使用した必要費・有益費の償還請求を行うことができる。

流質契約の禁止

 質権者に質物の所有権を取得させたり、質物を自由に処分する権限を与える契約のことを流質契約という。これは、質権設定者の窮迫・心理的窮状を利用することとなるため、民法90条により公序良俗違反となる。

 

転質

 質権者は自己の責任で転質をすることができる(民法348条)。この場合、不可抗力により質物が消滅しても質権設定者に対して損害賠償責任を負う。