ロープラクティス民事訴訟法  基本問題37

訴えの取り下げについての問題です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.民事訴訟法262条1項によれば、訴訟について訴えの取り下げがあった場合、初めから係属していなかったものとされる。

 本件事案において、XとYの裁判外の和解が成立したことを理由として、Xは訴えを取り下げているため、民事訴訟法262条1項に基づき始めから訴訟の係属がなかったものとされる。

 このように訴訟の係属がなかったものとされることから、民事訴訟法114条1項の既判力は発生しないとされる。

 そのため、再訴は既判力により遮断されない。

2.民事訴訟法262条2項によれば、翻案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は同一の訴えを提起することはできないとされている。このように規定されるのは、同一の訴訟を不当に提起するような濫訴を防止するためであると解されている。

 本件事案における再訴は、裁判外和解に違反し6か月以内にYが支払いを行わなかったためであるため、濫訴に当たるとは言えない。

 そのため、再訴が濫訴として却下されることはない。

3.したがって、Xは適法に再訴を提起することができる。

 

(終局判決が出た後とは第一審判決が出たような場合であるらしい。そう考えると論述は誤りがある。)