2020年6月1日 勉強したことまとめメモ
配偶者住居権についてまとめていきます。
新設されたものとはいえ非常に分かりにくいので条文を抑えつつ書いていくことにしました。
配偶者住居権は二種類ある。1037条に規定される配偶者短期住居権と1028条に規定される配偶者住居権である。
配偶者短期住居権は大まかに配偶者住居権が成立すると消滅するため、先に配偶者短期住居権からまとめる。
配偶者短期住居権
成立要件
①相続開始時点であること、②建物が被相続人の所有物であったこと、③無償で居住していたこと、④現在も同建物に居住していること、⑤配偶者であることである(民法1037条1項)。
そのため、以下のことが言われる。
・内縁配偶者に短期住居権は成立しない。
・転居した場合には短期配偶者住居権は成立しない。
・配偶者が居住していない場合には成立しない。
・建物が借家である場合、建物が賃貸のアパート借りたものである場合には成立しない。
また、配偶者短期住居権は以下の場合には成立しない。
①配偶者住居権を取得した場合
②相続欠格に当たる場合
③廃除された場合
以下のものは1号配偶者住居権は成立しないが2号配偶者住居権は成立するといわれる。
④相続放棄をした場合
⑤遺言により相続分がゼロとなった場合
⑥遺言により居住建物について相続させないものとされている場合
配偶者短期住居権の効果
民法1038条によれば、従前の用法に従った使用借権が成立する。
以下のことが言われる。
①建物に無償で居住することができる。
③住居建物取得者の同意を得なければ第三者に使用させることができない(1037条2項)。ただし、配偶者を介助する者は、履行補助者として同意を得なくとも使用させることができるとされる。
④他の共同相続人は修繕義務は負わないが、使用させなければならない。そのため、配偶者が一次的な修繕義務を負う。配偶者が修繕しない場合に、所有者が建物を修繕する(1041条による1033条の準用)。
⑤住居を占有する者に対して退去請求を行うことはできない。
⑥配偶者短期住居権は譲渡できない(民法1041条による1032条2項の準用)
⑦必要費は配偶者が負担する、有益費は相続分に応じて所有者が支払わなければならない(1041条により1032条2項の準用する民法583条2項の準用)。
⑧第三者対抗力はない、そのため、占有が奪われた場合には所有者に対して損害賠償を行うほかない。
⑨中間試案上配偶者住居権によって得た利益については具体的相続分から控除されないとされている。
(私としては、この配偶者短期住居権をだれに対して主張できるのかということがよくわかっていない。おそらく、遺産分割協議がされた後建物所有権がなくなった場合に、配偶者が所有権者に対して主張できるのだろうと考えられるが。)
配偶者住居権の成立期間は1号配偶者短期住居権による場合は、最低相続開始から6か月、上限に制限はない。2号短期配偶者住居権は消滅の申し入れの時から6か月の経過。
配偶者短期住居権の消滅
以下の場合に配偶者短期住居権は消滅するとされる。
①存続期間の満了
②配偶者が民法1038条に違反する使用をしたこと。
③配偶者住居権を取得したこと
④配偶者の死亡
⑤居住建物の全部滅失
配偶者短期住居権が消滅した場合には以下のことを行わなければならない。
①居住建物の返還
②居住建物の原状回復
③付属物の収去
配偶者住居権
配偶者住居権の成立
配偶者短期住居権が成立した場合に加えて、以下の場合に成立する。
①遺産分割によって配偶者住居権を取得すべきものとされた場合。
②配偶者住居権が贈与の目的とされた場合。
③配偶者住居権について死因贈与契約がなされた場合
ただし、民法1028条1項但書によれば、被相続人が建物を共有していた場合には配偶者住居権が成立しない。
配偶者住居権の効力
①用法順守義務を配偶者が負う
②居住建物の修繕義務を配偶者が負う
③配偶者が必要費を負担する
④配偶者住居権の譲渡禁止、そのため、強制執行の対象にならない。
⑤無断転貸の禁止
⑥配偶者住居賢者は、適法な転貸などにより収益を得ることができる(民法1036条、配偶者短期住居権ではこれはできない)。
⑦民法1031条によれば、配偶者住居権については登記をすることができる。配偶者は登記請求をすることができる。
配偶者住居権の消滅
配偶者住居権は配偶者短期住居権と同様に消滅する。