ロープラクティス民事訴訟法 発展問題19

今回も固有必要的共同訴訟に関する問題です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.まず、遺産確認の訴えを提起することについてXが訴えの利益を有しているか検討する。

(1)確認の訴えについて訴えの利益が認められるためには、紛争が存在しており、紛争の直接的な解決のため必要なものであるといえなければならない。

 本件事案において、Xは本件土地が、Aの遺産であり、共同相続されたかということが問題となっている。本件土地がAの遺産であった確認することによって、Xだけでなく、他の共同相続人も共同持分権を持っているのかが確認され、のちの遺産分割協議において適切に遺産を分割することができるため、今確認訴訟によって共有物であるか確定させる必要がある。

 そのため、Xは本件土地がAの遺産に属するか確認するための確認訴訟を提起することができる。

(2)したがって、Xの訴えに訴えの利益が認められる。

2.次に、Xの遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟であり他の共同相続人も当事者とする必要があるか検討する。

(1)固有必要的共同訴訟によらなければならないか否かは、他の利害関係者と同時に判断しなければならないかによって判断される。

 本件事案における遺産確認の訴えは、本件土地がAの遺産に属しており、共同相続人間で相続されたか否かが問題となっているのである。この場合、他の共同相続人の所有権の帰属に関しても問題となるのであるから、他の利害関係者と同時に判断しなければならない。

(2)そのため、本件事案における遺産確認の訴えは固有必要的共同訴訟であるといえ、XはYだけでなく、BCも被告として訴えを提起しなければならない。