治安維持法と共謀罪 (岩波新書) を読みました。
共謀罪(組織犯罪処罰法改正)が議論されていた時期に買っていましたが、時間に余裕ができたので読んでみました。
この本は治安維持法がどのように制定され、どの様に適用されてきたかをまとめた本です。また、治安維持法が廃止された以後の刑事訴訟法の問題点に踏み込んで解説しています。
治安維持法という法律は過激な社会運動の取り締まりのために制定された法律ですが、過激でない社会活動や、そのような社会活動を行っていないにもかかわらず過激な社会活動を行うと疑われた集会を取り締まるために用いられた法律です。
私自身治安維持法の条文の内容について知らなかったのですが、この本には治安維持法の条文が書かれており、どの様な事件に治安維持法が適用されたのかが書かれていました。治安維持法がいかに天下の悪法であるかを考えるうえで非常に参考になると考えられます。
ただ、この本は2017年の共謀罪(組織犯罪処罰法改正)に対する批判という面があるため、治安維持法や共謀罪だけでない話に飛ぶので、非常に論理を追いにくかったように思えます。たとえば、4章で精神保健福祉法の話が出てきたりするため、注意して読む必要があると思います。
また、治安維持法がどのように解釈され、どの様な事件に適用されたかについて参考になるものとして、宗教判例百選〔第2版〕の第二次大本教治安維持法違反事件やホーリネス事件の判例や解説を読んでみるといいと思います。私としても、治安維持法という法律がいかに拡大解釈されたかということを感じることができたように思います。