訴訟と非訟に関する問題です。
ほとんど憲法の問題だと思うのですが、きちんと向き合っていきたい問題です。
1.Aは本件審判を訴訟手続きとして行わなかったため憲法32条に反していると主張しているため、検討する。
憲法32条によれば、裁判所において裁判を受ける権利を奪われないと規定されているものの、この裁判とは、当事者間において、権利義務の発生、消滅を確定させるものでなければならないとされている。そのため、権利義務の存在を前提として、その内容を確定させる手続きについては訴訟手続きによらなくともよいとされる。
本件審判は夫婦の同居に関するものであるが、民法752条によれば、夫婦は同居義務を負うこととされていることから、本件審判は権利義務の内容に関する手続きであり、夫婦の同居義務の発生を確定させるものではないということができる。
したがって、本件審判は憲法32条の裁判に当たらないということができる。
そのため、本件審判を裁判所の裁判で行わなかった点について憲法32条に違反するとは言えない。
2.Aは本件審判が非公開の手続きで行われたことから、憲法82条1項に違反すると主張しているため、検討する。
憲法82条1項によれば、裁判について公開されなければならないことが規定されている。この裁判とは当事者間の権利義務の発生消滅を確定させるものでなければならないとされている。
本件審判は先述の通り、権利義務の発生消滅を確定させるものでないことから、訴訟手続きによらなくともよいといえる。
したがって、本件審判は憲法82条1項の裁判に当たらないということができる。
そのため、本件審判を公開しなかったことについて憲法82条1項に違反するということはできない。