ロープラクティス民事訴訟法基本問題2

裁判所の審判権についての問題です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.裁判所法3条1項によれば、裁判所は法律上の争訟について審判件を有するとされている。この法律上の争訟とは、権利義務又は法律上の地位に関する具体的紛争であり、法律を用いて終局的に解決可能なものを指す。

 そのため、ABの本訴と反訴についてそれぞれ、裁判所が審判件を有するか検討する。

(1)BのAに対する山和寺の境内地の明け渡しというものは所有権に関する訴えであるそのため、Bの所有権に関する訴えであり、法律を用いて終局的に解決可能であるということができる。

 そのため、裁判所はBのAに対する本訴について翻案判決をすることができる。

(2)AのBに対する山和寺の住職の地位にあることの確認請求というものは、住職という地位は宗教法人山和寺の規則によって任命されるものであることから、法律上の地位ということはできない。そのため、山和寺の住職の地位にあることの確認請求というものは裁判所法3条1項の法律上の争訟に当たるということはできず、裁判所は翻案判決を下すことができない。

2.したがって、裁判所はBのAに対する本訴について本案判決を下すことができるが、AのBに対する反訴について本案判決を下すことができない。