ロープラクティス民事訴訟法 基本問題4

ロープラクティス民事訴訟法の基本問題4を解いていきます。

この問題は死者名義訴訟に関する問題です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.YはXに対し、XのAに対する売買代金支払請求訴訟は死者を名義人とする訴訟であるため無効であると主張し請求異議の訴えを提起しているが、この主張が認められるか検討する。

(1)民事訴訟法上訴訟を提起するためには両当事者に訴訟能力がなければならないと解されており、民事訴訟法28条によれば、当事者能力については民法の規定に従うとされていることから、民法上権利義務の主体とならない死者は当事者能力を有しないと考えられる。

 本件事案において、Xは2012年4月にAに対する訴えを提起しているが、Aはその前の2011年12月に死亡している。そのため、XのAに対する訴えは死者を名義人とする訴訟であって、当事者能力のない者に対する無効な訴えであるということができるようにも見える。

(2)しかし、死者の唯一の相続人が出頭し、本人として訴訟追行をした場合、死者を名義人とする訴訟ではなくて、出頭した者を名義人とする訴訟となっているということができるため、この場合は死者を名義人とする訴訟とは言えず適法な訴えになると解される。

 本件事案において、YはAの唯一の相続人であり、さらに、弁護士Bを代理人として出頭し、訴訟追行を行っているため、Xが2012年4月に提起した売買代金支払請求訴訟はYを訴訟名義人とする訴えであるといえる。

 そうすると、権利能力を有するYを訴訟名義人とする訴えになるため、適法な訴えであるということができる。

2.したがって、2012年4月に提起されたXのAに対する訴えが死者名義訴訟であること理由としたYの請求意義の訴えは認められない。