ロープラクティス民事訴訟法 基本問題5

ロープラクティス民事訴訟法基本問題5を解いていきます。

この問題は権利能力なき社団の当事者能力に関する問題です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.XはYに対して計算書類等の謄本交付請求を行っているが、これに対して、YはXが当事者能力を書くことを理由として訴えの却下を求めている。そのため、Yの主張が認められるか検討する。

(1)民事訴訟法29条によれば、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものについて当事者能力が認められるとされている。この法人でない社団であるといえるためには、多数決の原理による意思決定が行われ、構成員の変更に関わらず存在していることが認められ、団体の内部組織が確立しており、組織が備えられ、財産的基礎があることが認められなければならない。財産的基礎がなくとも、財産の取り扱いについて規則が定まっていることが認められなければならない。

 本件事案において、Xはゴルフ場の会員によって組織されるのであるから、構成員の変更にもかかわらず存続するものであるということができ、会員相互の親睦等を期する目的のクラブであることから、内部組織を備えていると考えられる。さらに、協定書が締約されており、この中身は不明であるものの、この規定により多数決の原理で経理内容の調査を行っていると考えられる。

 しかし、Xには固定資産がなく、財産管理の方法について具体的に定めた規定もないことから、財産的基礎を欠くということができる。そのため、Xは権利能力なき社団であるということが認められない。

(2)したがって、Xには民事訴訟法29条による当事者能力が認められない。

2.よって、Xの訴えは却下される。