この問題は訴訟代理人の和解権限に関するものです。
1.本件事案において、AとBは(1)(2)の和解を行っているが、この和解についてAとBの代理権の範囲に含まれているか問題となる。
民事訴訟法55条2項2号によれば、訴訟代理人が和解を行うためには特別の委任がなければならないとされる。本件事案において、AとBはどちらも訴訟上の和解についての授権がされていたことから、民事訴訟法55条2項2号に基づいて和解を行う権限があったということができる。
次に、民事訴訟法55条2項2号の和解の権限があるとして、どの範囲で権限の範囲内であると認められるか問題となるが、和解の範囲は訴訟物に限定されず、和解を行うについて必要な範囲で訴訟物以外の権利に関する和解を締約することができる。
本件事案において、(1)の和解はYが係争地であるXの土地を1億円で買い受けることを内容としているが、これは訴訟物の対象となっているものについての和解であるため、AとBはこのような和解を締約する権限を有しているということができる。
また、(2)の和解は(1)の和解を締約するための条件として抵当権を付するものであるため、和解を行う条件として必要な範囲のものであるということができる。そのため、AとBはこのような和解を締約する権限を有しているということができる。
2.したがって、AとBは和解をする権限があったということができる。