ロープラクティス民事訴訟法 発展問題7

ロープラクティス民事訴訟法の発展問題7を解いていきます。

この問題は司法試験で問われた問題でもあります。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.民事訴訟法246条によれば、裁判所は当事者が申し立てていない事項についての判決をすることができないとされていることから、訴訟物の範囲内でしか判決を下すことはできないとされる。この訴訟物の範囲については損害賠償請求額といった量に関するものだけでなく、引き渡しの条件などの質に関するものも含まれると解されている。

(1)本件事案において、Xは立退料の額は2000万円であると主張しているにもかかわらず、裁判所はそれを増額させた3000万円であると判断しているが、これはXの請求の条件について不利益に変更するものであることから、Xの訴訟物の範囲内の判断であると考えられる。

 したがって、Xが立退料について2000万円であると主張した場合に裁判所が立退料について3000万円であると判断することは民事訴訟法246条に違反しないと考えられる。

(2)しかし、仮に、Xが立退料について4000万円であると主張していたにもかかわらず、立退料について3000万円であると裁判所が判断する場合、Xの請求より請求の条件がXにとって利益となってしまうことから、訴訟物の範囲外の判断をすることになるため、民事訴訟法246条に基づき立退料について3000万円であると判断することはできない。

 したがって、この場合は、裁判所は立退料について4000万円であると判断しなければならない。

2.そのため、裁判所の判断はこのように異なるといえる。