『生きづらい明治社会』(岩波ジュニア新書)を読みました

生きづらい明治社会――不安と競争の時代 (岩波ジュニア新書)』を読みました。

 

 

 この本は現代日本でも起こっている生きづらい現状が明治時代にもあったということを示すとともに、この明治時代の生きづらさがどのように出来上がってしまったのかまとめた本です。

明治時代というと、日本が強い欧米諸国に並ぶため文明開化や殖産興業を掲げ、軍隊を強くし、資本主義を導入し・・・といったように競争と成長といったイメージがあります。しかし、それらの競争と成長というものは生きづらい人社会からこぼれ落ちてしまった人を生み出してしまうということをこの本は明らかにします。

そのうえで、このこぼれ落ちてしまった人を救わない、救おうともしない原因は、競争すればよいものができる、成長すれば豊かになるという競争社会が作り出す「通俗道徳」にあると説明します。

この「通俗道徳」というのは、人が困窮に陥るのはその人の努力が足りないからであるという考え方を指し、現代の「自己責任論」と似た考えです。

わたしとしても、この「通俗道徳」「自己責任論」的な考え方というものは、現代の社会権思想に逆行する非常に良くない考えであると思います。というのも、現代社会に生きる人たちは貧しくなる可能性、落ちぶれる可能性を持っており、このような困窮した人を救わないということは巡り巡って自分たちを苦しめると考えられるからです。

そのため、この窮屈を生む競争社会や自己責任論的な考え方を脱する知識を身に着け、実行することが必要ではないかと感じました。