合格体験記(1)不合格の去年と比べて何を修正したのか

 今年の司法試験に合格したので、合格体験を書いていきます。

 書きたいことが多いため、今回は、不合格となった去年から何を修正したのかということをテーマに書いていきます。

 どのようにして、不合格から立て直したのか、ということの参考になれば幸いです。

 

 

 去年令和3年の司法試験の成績については、憲法B、行政法C、民法B、商法C、民事訴訟法D、刑法A、刑事訴訟法Dで、令和2年の成績から42点落とす結果となり、ガクっと成績を落としてしまいました。

 そのため、不合格、成績を落としてしまった原因を検討することから始まったのですが、このような問題があることが分かりました。

 ①正確に規範が書けていないという問題がある。

 ②問われていることに解答できていないという問題がある。

という大きな課題があることが分かりました。

なので、以下のように修正しました。

 

1.規範の中身がどのようなものであったか見直すこと

 司法試験では、規範を正確に書けることが重要なので、判例百選や教科書を見直して規範を正確に書くようにしました。

 例えば、処分性の規範について、昔は、「法律に基づき、相手方の権利義務、法律上の地位を権力的に変動させる作用を有している」ものと書いていました。これでも、通じないことはないのですが、正確ではないということで失点してしまいます。

なので、なるだけ正確に、「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの」(最高裁昭和39年10月29日判決民集18巻8号1809頁)という言葉に近づけるようにしました。「国または公共団体」とか、「直接」といった言葉を落とすことで印象を悪くしないようにしました。

 司法試験直前に書いた答案のノートを見直してみたら、「国または公共団体の行為のうち、直接私人の権利義務を発生させ、または法律上の地位の範囲の確定を法律に基づき権力的に行うもの」と書いていました。なので、残念ながら判例の通り一言半句正確に書けたわけではなかったですが、「国または公共団体」「直接」という言葉を入れて規範を書くようにはできていました。

 

2.問いに答えるために問いは何なんのかということを把握するように努めました。

 個人的にこれが簡単なようで難しかったのですが、これができていないと、取るべき点数が取れなくなり、失点してしまうため、これはなるだけ修正するようにしました。

 例えば、今年の司法試験の行政法の〔設問1〕(2)の質問は問題文上、このように書かれています。

B県知事がAに対し本件申請に係る許可をした場合を想定して、以下の点を検討しなさい。

⑵ 仮にEが本件開発行為に同意し、Fのみが同許可の取消訴訟を提起した場合、同訴訟の係属中 に本件開発行為に関する工事が完了した後においても、Fに訴えの利益は認められるか、検討しなさい。なお、解答に当たっては、Fに原告適格が認められることを前提にしなさい。

このように、問題文としては、「訴えの利益は認められるか」ということしか聞かれていません。

 しかし、会議録を読むと、

Fの訴えの利益の問題が生じます。取消訴訟係属中に林地の開発行為に関する 工事が完了した事例に関する最高裁判決(最高裁判所平成7年11月9日第一小法廷判決・ 裁判集民事177号125頁)では訴えの利益が否定されていますが、その理由が明確では ありません。訴えの利益を否定する理由を明確化するため、建築確認の取消訴訟係属中に建 築工事が完了した事例に関する最高裁判決(最高裁判所昭和59年10月26日第二小法廷 判決・民集38巻10号1169頁)を参考にしつつ、開発許可の法的効果などを法の仕組みに即して検討することにします。

 と書かれているのです。

 問題としては、この会議録の誘導部分についても点数があり、この建築確認の事例と比較する部分に触れながら答案を書かないと点が十分に入らないことになります。

 そのため、問題文の読み落としを防ぐ対策として、過去問や答練の問題を解いているときに、問題文のうち、質問部分について、紫のマーカーで塗りつぶし、どこが問題になっているか確認するようにしながら解くようにして、問題文の質問になっているところを落とさないようにして解答するようにしました。

 そうすることで、どこが問題になっているか気にしながら読む習慣が身につき、どこに解答すればよいのかということが分かるようになりました。

 

 これが、私が、去年から今年にかけて修正した点で、基本中の基本なのですが、このようにすることで、去年の状態から立て直して合格することができました。