司法修習の感想(刑事裁判の白表紙について)
司法修習の刑事裁判の白表紙についてよく使うのはどれか、いつ使うのかを書いていきます。
刑事裁判
白表紙
『プロシーディングス刑事裁判』
→刑事裁判手続きについての本です。
模擬裁判で役に立ちます。それぞれの手続きの過程で、裁判官、弁護人、検察官がどのように発言するのか書かれているので、そのために使います。
また、手続についても詳しく載っているので、実務修習中にあった手続きについて裁判官がこの中に書かれているようなことを聞いてくることがあります。
『プラクティス刑事裁判』
→こちらは、主に裁判員裁判がある場合の手続きについて書かれた本です。
この本には、量刑判断の仕方が載っているので(白表紙で量刑について載っているのはこれしかない)、刑事裁判修習中の量刑が問題になる事件、検察修習中の量刑判断に役に立ちます。
また、集合修習の検察起案では情状の問題が出るので、それに備えて取っておきましょう。
『刑事事実認定ガイド』
→刑事事実認定の仕方について載っている本です。
事実認定の仕方については、これをよく読みながら勉強するといいと思います。刑事事実認定の考え方は、検察でも刑事弁護でも使うので、刑事裁判の本の中では、これが一番参照されるかもしれません。
また、この本に書かれた証拠構造を意識することは、集合修習の起案でもしっかりと意識してほしいと考えています。証拠構造を意識するだけで刑事裁判の起案は良くなると思われますので。
この本で意味合い、重みづけで書くよう言われるらしいのですが、よくわかりません。私は、少なくとも意味合い、重みづけで書かなくてもいいといわれているので。
『少年審判手続きについて』
→少年事件の手続きが載った本です。薄っぺらいので見つけづらいかもしれません。
実務修習中に少年事件を見ることになるのですが、その際に参照されます。
観護措置、試験観察、少年の勾留について押さえておくなら、これを読んだ方がいいと思います。
少年の勾留は例外的にされるらしいのですが、意外と見かけるなんてこともあるかもしれませんね。
白表紙以外
『裁判員裁判における量刑評議の在り方について』
→自分のブログでも紹介したことがありますが、量刑判断の方法についてわかりやすく書かれた本です。
しかも、プラクティス刑事裁判に書かれているものより詳しく書かれているので、実際に量刑について考える際は、こちらを参考にするのではないかと思います。
なぜこれが白表紙じゃないんだ
『実践的刑事事実認定と情況証拠』
→刑事事実認定の仕方について詳しく書かれた本です。
これが特に参考になるのは、実務修習中に覚せい剤とか、犯人性を消去法で認定する事案といった事実認定の総論に関わる事件を見かけた際だと思います。
というのも、推認方法については刑事事実認定重要判決50選より詳しく書かれているので、こちらが参考になる場面も多いと思われるためです。
『刑事事実認定重要判決50選(上・下)』
→判例を基に事実認定を行う方法を解説した本です。
責任能力とか因果関係とかそういった事実認定の各論を検討する際に役に立つ本です。
でも、厚いし高いので、裁判所から借りて読むことになると思います。
責任能力に関する事件について起案するよう言われたらこれは読みましょう。責任能力については、そのほかだと、季刊刑事弁護に載っているらしいです。