司法修習の感想(民事裁判の白表紙について)
司法修習の民事裁判の白表紙について感想を書いておきます。
これ役に立った、これどこで役に立ったという話を書いておきます。
また、白表紙ではないが、役に立つ本も挙げておきます。
民事裁判
白表紙
『紛争類型別の要件事実』
→要件事実の学習のために使う本として高度な方の本です。
要件事実の学習のために使います。ただ、こちらは実務修習に入ってからや集合修習で、効果を発揮する感じです。
導入修習に使うには高度かもしれません。
『新問題研究 要件事実』
→要件事実の学習のために使う本として入門的な方の本です。
要件事実の記載事例やなぜこのように書くのかという解説が豊富に載っていますので、要件事実がよくわからないという人は、こちらをしっかり読みましょう。
要件事実チェックリスト(一緒に来るプリント)と合わせて使うことで、要件事実の基本的な記載ができているのかできていないのかわかりますので、要件事実の学習が不安な人は、このチェックリストを使いながらこの本を読みましょう。
『事実摘示記載例集』
→要件事実についての記載例が載っている薄い冊子です。
要件事実の摘示の仕方を確認するのに使います。二回試験の直前も見直すことがありますので、取っておきましょう。
『事例で考える民事事実認定』
→民事事実認定の本です。
民事事実認定のための入門書的な本ですが、民事事実認定の判断枠組みの部分はきちんと頭に入れましょう。ここは二回試験でも出ますし、ここを間違うといい評価はされないと思った方がいいです。
あと、この本の中で上げられた事例の「視点の設定」の部分は二回試験の直前でも参考になりました。というのも、どのような視点が挙げられているのか、なぜこの視点が挙げられているのかというのは事実認定を行う上で重要になってくるためです。
『対話で進める争点整理』
→争点整理の本です。
これはネットに上げられてるので、タダで誰でも中身を見ることができます。
肝心の使いどころや使い方なんですが、76期の修習の途中に司法研修所が完成させて、集合修習でも使わなかったのでよくわかりません。
77期以降ではガンガン使われるのだと思います。
『民事訴訟第一審手続の解説』
→民事裁判の手続きについて書かれた本です。
導入修習の授業で使って、実務修習で裁判官から質問されることに答える際に使うかなというくらいでしょっちゅう参照されるものではありません。
集合修習に入るといらなくなるかなというものです。
(導入修習で教材にされるので、その際に使う必要があります。)
『民事判決起案の手引き』
→判決書の書き方について書かれた本ですが、正直いらないかなと思う本です。
ただし、裁判官になるという人は、修習が終了した後に使うらしいです。
あと、模擬裁判で裁判官役をやる人はつかうんじゃないかなというくらいです(いや、つかってなかったかも。裁判官役じゃなかったのでよくわからない。)。
『規範的要件について』
→規範的要件の書き方について書かれたプリント
薄いし、プリントだし見落としがちなのですが、過失などの規範的要件について主要事実は何か、事実認定をどのように行うかが書かれたものです。
実務修習中の不法行為訴訟で確実に使います。また、集合修習の起案でもしかしたら、規範的要件について出題されるかもしれません。意外と使いどころがあります。
その他の役に立つ本
『完全講義 民事裁判実務の基礎(上・下)』
→みんなご存じ大島本
要件事実などについて書かれた本です。
というか、ロースクールではこれを使って民法の勉強をしていたという人は多いのではないでしょうか。
二回試験の直前までこれを読んでいるような本です。ぜひ買って使いましょう。
→岡口マニュアルです。
要件事実について詳しく載っているのですが、高いし、厚いので修習生が買うのには厳しいです。実務修習では、民法以外の法律の要件事実(労働法や著作権法)を扱うことがあるので使うかもしれません。
なので、裁判所の図書室などを使って読みましょう。
『例題解説 DV保護命令/人身保護/この引渡し』
→DV防止法の解説書です。
なぜこれ?という話になるかもしれませんが、実務修習中に家裁修習なり、民事部での修習なりで見かけるかもしれないので、基本的な知識を押さえておくために読むと役に立ちます。
少なくとも私は、DV保護命令の審尋手続きを1回は見ました。
実務修習中でDV保護命令が却下されるパターンを見れたらレアです。
『企業法務のための民事訴訟の実務解説』
→民事訴訟の手続きについて書かれた本です。
白表紙の一審解説の本よりは詳細に書かれており、陳述書などの書式が豊富に載っています。
民事訴訟の手続きを学ぶなら、こちらが詳しいです。
(これがあるから『民事訴訟第一審の解説』の白表紙がオワコン・・・?そうかもしれない。)