では、法学入門のための本の紹介の第二回として、今回は、憲法の入門書について書いていきます。
といっても、憲法は、基本的には小中高の時に、公民、政経で習うものですから、入門にあたって、本を読むということはあまり必要ないのかもしれません。
しかし、憲法の理念といったものはしばしば学校での教育ではスルーされてしまいがちですので、何か一冊は読んでみるといいかもしれません。
一冊目は、『憲法主義:条文には書かれていない本質』(PHP研究所)内山奈月、南野森著です。
この本は、憲法入門書として私の周りでの評判が高い本です。
内容としては、AKB48の内山奈月と憲法学者の南野森が対話をしながら憲法についての理解を深めていくという内容のもので、憲法の入門書としても深く、そして、読みやすいです。
最近、文庫版も出されたので、安価で手に入るようです。いい機会ですので、ぜひかつてみるとよいのではないでしょうか。
次におすすめなのが、『新・エッセンス憲法』(法律文化社)です。
この本は私が学部時代に教科書として指定されていたものです。この本は、判例や、基本的な概念について簡潔に書かれていて、非常に有用な本でした。
ただ、判例の引用は日付が書かれているのみで、判例集の引用がなかったので、少々不便でした。
有斐閣ストゥディアシリーズの『憲法(人権・統治)』(有斐閣)も憲法上の観念が簡潔に書かれているのでお勧めです。
この本は判例の引用や、憲法学上の観念の説明などがしっかりされているので、司法試験受験生や学部で憲法の教科書として何か一冊選ぶとするときにお勧めです。僕も、自習室で内容を確認してみて、非常にためになるなと思いながら熟読してしまいました。
興味を持って読めるという意味でオススメなのが『リアル憲法学』(法律文化社)です。
この本は、実際に起こった事件を参照しつつ憲法学的観点から切り込む面白い本です。特に、沖縄の方言が裁判で使われたため問題となった「ウチナーグチ裁判」の章は面白かったです。
私も、この本を法学部生の時に読んで、「こんな事件もあるのか」と驚いた記憶があります。
入門というよりも、興味深いという感じの本ですが、ぜひ読んでみてほしい1冊です。
事例型の入門書としてもう一冊、『基本的人権の事件簿』を挙げておきます。

基本的人権の事件簿 第5版-- 憲法の世界へ (有斐閣選書)
- 作者: 棟居快行,松井茂記,赤坂正浩,笹田栄司,常本照樹,市川正人
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2015/03/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本は、基本的人権が問題となった裁判例を当時の新聞記事などを参書しつつ扱い、その事件がどのようなものだったのかを解説する本です。
この本を初めて見たとき、僕は法学部3年だったのですが、この事件にはこんな背景があったのかと驚かされた記憶があります。友人にも勧めてみたことがあり、その友人もこの本は面白いといっていたのを思い出します。
最後に、入門というより、憲法を学ぶ人はだれでも読む本として岩波書店の出している『憲法』(著:芦部信喜)をオススメします。
この本は、法学部で、憲法を学ぶ学生なら一度は名前、存在を知っているくらいメジャーな本で、法科大学院でも読むことを勧められる非常に長く読むことのできる本です。
私も現在読んでいるのですが、見直すたびに新しい発見をしてしまい、自分の憲法に対する理解は足りないなと思わせてくれます。
以上が僕のオススメする憲法の入門書です。
憲法は、身近なもので、政治的にも多くの問題のもととなっているものですから、解説書は多く、中にはあまり信頼できないような筋の方の本もあり、どれを読んでいいか迷うこともあるかもしれません。
しかし、これらの本を読んでおけば間違いないですし、憲法について興味がわいてくるのではないでしょうか。