司法試験平成29年 行政法解答

行政法の僕の解答を載せておきます

間違いだらけですが、何かあればコメントにお願いします。

 

司法試験論文解説と合格答案〈平成29年〉

司法試験論文解説と合格答案〈平成29年〉

 

 

 

設問1

小問(1)

1XYに対して、行政事件訴訟法37条の2に基づいて、本件フェンスの撤去の義務付けの訴えを提起しようとしているため、検討する。

2行政事件訴訟法37条の21項によれば、義務付けの訴えを提起するためには、一定の処分をする必要があるにもかかわらず、処分がなされないという事実があり、一定の処分がされないことによって重大な損害を生じるおそれがあり、かつ、谷適切な方法がないと認められる場合でなければならないとされる。

 すなわち、①義務付けようとする行為に処分性があり、②原告適格を有し、③処分の不存在により、重大な損害を生じるおそれがあり、④補充性が認められるといえなければならない。

(1)処分性が認められるためには、国または公共団体が法律に基づく公権力の行使により、私人の権利義務または、法律上の地位の変動をもたらすことが認められなければならない。

 本件事案において、Xが求めているのは、道路法432号の違反行為を理由とする道路法711号に基づく作用であるが、この監督処分が道路管理者から禁止行為を行ったAに対して発せられた場合、Aは本件フェンスを撤去すべき法律上の地位が一方的に付与される。

 そのため、道路法432号違反を理由とする道路法711号に基づく監督処分には処分性があるといえる。

(2)行政事件訴訟法91項によれば、原告適格が認められるためには、法律上の利益が認められなければならないとされる。

 道路法71条に基づく監督処分がされた場合、その道路に土地が隣接しており、道路を利用する者にも当然に法効果が及ぶため、本件市道に隣接し、本件市道を利用するX等にも原告適格が認められる。

(3)行政事件訴訟法37条の21項の重大な損害を受けるおそれとは、そのような処分がなされないことにより、回復することが困難な損害を生じることを指す。

 本件フェンスが設置され続けた場合、市が市道を廃止し、Aが本件市道を買い取ることにより、Xらが本件市道を利用できなくなるおそれが発生するといえる。

(4)また、Xらは、本件フェンスの撤去のために、土地の所有権に基づく返還請求として本件フェンスの撤去を求めることも考えられるが、Xらが本件市道について所有権を有していない以上、このような民事訴訟を提起することはできない。

 そのため、補充性を有する

3.よって、Xらは行政事件訴訟法37条の2に基づき、道路法71条に基づく監督処分をするように求める義務付けの訴えを提起することができる。

小問(2)

1Y市は道路法432号の違反事由はないと主張し、道路法71条に基づく監督処分を発しないものの、このようなY市の判断には道路法71条の裁量判断を誤った違法があるこということができる。

2道路法71条に基づく監督処分を発することは、Y市の本件市道に対する管理作用に基づくものであるため、Y市に監督処分についての裁量があるということができる。

 道路法432号により禁止される行為とは、道路の構造又は交通に支障を及ぼす行為であり、本件市道の南端と、北端にフェンスを設置する行為は、本件市道の交通を阻止する者であり、明らかに交通に支障をもたらす行為であるといえる。Y市としては、本件市道の利用が乏しいことや、園児と原動機付自転車接触事故が発生していること、本件市道は廃止予定であることを挙げているものの、Xを含めて本件市道を利用する者がいることから、Y市の()の説明には事実誤認があり、()()の事情も、道路法43条が道路の利用の障害があることを禁止行為をしているにもかかわらず、道路の利用とは無関係な事情であることから、Y市は裁量判断を誤り、道路法432号の事由の判断を誤っているということができる。

 したがって、Y市の判断には、道路法432号についての判断を誤った違法があるということができる。また、これは、行政事件訴訟法37条の25項の裁量権の行使の違法ということができる。

3XY市に本件フェンスの撤去を求めることを義務付けることができる。

設問2

小問(1)

1行政事件訴訟法32項にいう取消訴訟を提起するためには、処分性が認められなければならない。そのため、道路法101項の本件市道の路線廃止について処分性があるか検討する。

2.処分性があるといえるためには、法律に基づく国または公共団体の公権力の行使により、相手方の権利義務又は、法律上の地位の変動をもたらす作用であることが認められなければならない。

 道路法101項に基づき市町村長は道路に対して、路線の廃止という作用をもたらすことができるとされる。このような作用がされた場合、道路について試験の制限という道路法4条に基づく法律上の地位が及ばないことになるため、法律上の地位の変動をもたらすということができる。また、この作用は市町村長の一方的な判断によって行うことが可能であるため、公権力の行使によるものであるということができる。

3.したがって、道路法101項に基づく本件市道の路線の廃止には、処分性があるということができ、取消訴訟の対象となる処分に当たるということができる。

小問(2)

1Y市は市道の路線を廃止するにあたって市道の利用が乏しいことと、周辺住民の同意を得る必要がないことを理由として、道路法101項に基づく路線の廃止を行っているが、このようなY市の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるということができる。

2道路法101項によれば、市道の廃止を行うためには、一般の交通の方に供する必要がなくなったとの事実がなければならない。また、道路の路線の廃止というものは道路の管理作用に関するものであるため、文言解釈されなければならない。仮に廃止の際の裁量基準である内部基準に周辺住民の同意が必要であることが規定されていたとしても、その基準に違反したことは、道路法101項の違反事由にはならない。

 そのため、XY市が内部基準に違反して周辺住民の同意が得られていないことを理由として道路法101項についての違反があるということはできない。

3.次にY市が道路法101項に基づく路線の廃止を行うにあたってその裁量を逸脱したとの違法を主張することが考えられる。

 道路法101項に基づく路線の廃止を行うにあたってその裁量を逸脱したとの違法を主張することが考えられる。

 道路法101項に基づく路線の廃止は、道路管理者である市町村の管理作用によるものであるため、市町村に裁量が認められる。そのため、本件事案において、Y市に市の合理的裁量に基づく判断を誤った違法がないかを判断しなければならない。

         道路法101項によれば、一般交通に用に供する必要がなくなった場合に道路を廃止することが認められるため、道路の利用状況について検討しなければならないとされる。本件事案において、Y市は①~③の事情があることを理由として、市道の廃止が適切であると判断しているものの、本件市道について、歩行者や原動機付自転車の利用が想定できること、本件保育園の関係者以外にもXらや付近で原動機付自転車を利用する者がいること、災害避難の観点からはB通りはC小学校から遠くなるため、不適切であるという重大な事情がある。それにもかかわらず、Y市はこれらの事情を考慮に入れずに判断している。

 そのため、Y市には重要な事項について考慮に入れず、不合理な判断をし、道路法101項の判断を誤ったとの違法がある。

4.したがって道路法101項に基づくY市の道路の路線廃止処分は取り消されるべき違法があるということができる。