ロープラクティス民事訴訟法 基本問題31

ロープラクティス民事訴訟法の基本問題31を解いていきます。

この問題は争点効に関する問題ですが、争点効は学説上有力に主張されていますが、実務上相手にされていない考えです。一応、信義則を通して争点効類似の効力を認めるということをすることはあるようですが稀です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.民事訴訟法114条1項によれば、既判力は主文に包含するものに限り発生するとされる。そのため、判決理由中の判断には既判力が生じないとされる。

 本件事案における第二訴訟でYはXに対して本件建物の所有家に基づく建物明け渡し請求を行っていたということができる。これに対してXは抗弁としてYの詐欺を主張している。この第二訴訟はXの詐欺が認められないことを理由としてY勝訴となっていることから、YのXに対する本件建物の明渡請求を認めるという主文について既判力が発生しており、判決理由中の判断であるXの詐欺の主張を認めないという部分には既判力が生じていない。

 そのため、第一訴訟の控訴審において詐欺の主張について既判力により遮断されないことから、XはYに対して詐欺の主張を行うことができる。
2.次に、判決理由中の判断についても裁判所の判決の矛盾を防ぐために、拘束力を生じさせるべきであると考えられているため、争点効の主張を行うことができると学説上主張されている。

 しかし、このような主張を認めると確定判決の安定性を害するため、争点効は受け入れられていない。

 そのため、争点効による主張は認められない。

3.よって、Yの主張は認められない。

 以上