ロープラクティス民事訴訟法 基本問題36

反射効に関する問題です。

学説的な問題なので無視しても構わないとは思いますが、どういう点について議論したいのか参考にすべきではないかと思います。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.民事訴訟法115条1項各号に掲げられるものに対して既判力が及ぶとされている。

 本件事案におけるZはYの保証人である。そのため、前訴の貸金返還請求訴訟の当事者でも、他人のために原告又は被告となった者でもなく、訴訟の前から保証人であったことから口頭弁論終結後の承継人でもなく、保証契約というものは目的物の所持を内容とするものではないため請求の目的物を所持する者ではない。

 したがって、Zは民事訴訟法115条1項各号のいずれの対象にも当たらないといえる。

 よって、Zに既判力は及ばない。

2.しかし、このように既判力が作用しないと矛盾した判決が出されることによりXが二重に利益を受けることとなるうえ、YもZから求償されることにより、Yが二重の弁済を行わざるを得なくなる可能性がある。

  そのため、反射効を認めるべきではないかという主張がある。しかし、反射効は訴訟法的関係が実態法関係に作用すると解する点で妥当でない。

 そのため、反射効の主張は認められない。

3.民事訴訟法115条1項3号の類推適用により既判力を及ぼすことも考えられる。なぜなら、民事訴訟法115条1項3号は実体法関係との矛盾を防ぐための規定であり、保証債務の無効を主張する保証人は承継人と同視することができるためである。

 本件事案におけるZはYの主債務の保証人であることから、民事訴訟法115条1項3号類推適用により、既判力が及ぶ。

 そのため、前訴の既判力の作用により、Zは主債務の消滅を証明することなく主張することができ、保証債務も消滅したことを主張できる。

4.したがって、既判力の積極的作用により、Zは主債務の消滅を証明することなく主張できる。

以上