平成31年司法試験予備試験民事訴訟法

平成31年司法試験予備試験民事訴訟法を解いていく。

 

 

 設問1

1.X2はX1のYに対する訴訟について民事訴訟法124条1項1号に基づく受継の申し立てを行うことが考えられるため検討する。

 民事訴訟法124条1項1号によれば、当事者が死亡した場合相続人に訴訟承継を行うことができるとされている。本件事案において、X1が死亡し、AがX1の地位を相続したのであるから、Aに対して、訴訟承継を行うことが考えらえれる。

 しかし、民事訴訟法124条2項によれば、訴訟代理人がある間適用しないとされており、本件事案においてX1の代理人としてLが指定されていることから、訴訟代理人が存在しているということができる。

 したがって、民事訴訟法124条1項1号に基づいて訴訟承継を行うことはできない。

2.次にX1とX2による本件訴えは固有必要的共同訴訟でないと主張することが考えられる。

 民事訴訟法40条の固有必要的共同訴訟に当たるということが言えるためには、訴訟の目的である権利又は義務について共通であると認められ、更に合一確定の必要性が認められなければならない。

 本件事案において、X1とX2は共同して甲土地所有権という同一の権利について訴えを提起しているものの、それぞれの持分権についてのみ確定させればいいことから、合一確定の必要性は認められない。

 したがって、本件訴えは固有必要的共同訴訟でなく本件訴えはX1の死亡によって却下されない。

3.したがって、X2としては樹形の申し立てをする必要のないこと、固有必要的共同訴訟でないことを主張することになる。

設問2

1.X1らは、Zの主張が既判力の作用により遮断されるべきであることを主張しているため、検討する。

(1)民事訴訟法115条1項3号によれば、口頭弁論終結後の承継人について既判力が及ぶとされている。本件事案において、Zは口頭弁論終結前に甲土地所有権を取得した者であるため、民事訴訟法115条1項3号に基づき既判力は及ばない。

(2)民事訴訟法50条1項によれば、訴訟の係属中にその訴訟の目的物を承継した者に対して、訴訟引き受けを行うことができるとされている。本件事案において、Zは訴訟の目的物である甲土地を譲り受けたことから、訴訟の目的である義務を承継したということができる。しかし、前訴は確定していることから、訴訟承継の申し立てを行うこともできない。

 したがって、訴訟承継を申し立て、Zに既判力を及ぼすこともできない。

(3)民事訴訟法115条1項4号の目的物を所持する者に該当するとして、既判力を及ぼすことが考えられるものの、この規定は信託等の事情により、所有権が移転された場合の規定であるため、直接適用することはできない。

 しかし、信託というものは所有権を移転しつつも実質的には信託をした者の利益のために財産の運用が図られるものであることから、虚偽表示によって財産の移転を行った場合にも同様の効果が生じることから、民事訴訟法115条1項4号の類推適用により、虚偽表示によって口頭弁論終結前に所有権が移転された場合にも既判力を及ぼすことができる。

 本件事案において、YはZにたいし虚偽表示によって甲土地の移転を行っていることから、民事訴訟法115条1項4号の類推適用により既判力を及ぼすことができる。

(4)民事訴処方114条1項によれば、既判力は主文に包含される者に発生するものであることから、YはX1らに対して所有権移転登記をせよという部分について既判力が発生するとされる。

 既判力は同一、先決、矛盾する訴訟物に対して作用するとされ、XらのYに対する所有権移転登記請求の前訴とXらのZに対する所有権移転登記請求の後訴は同一の訴訟物であるということができる。

 このときに、売買契約を否定すると前訴判決と矛盾することから、既判力の作用によりZの主張は遮断される。

2.したがって、Zの主張は既判力により排斥される。