共同通信運動部編『アスリート盗撮』を読みました。

共同通信運動部編『アスリート盗撮』(ちくま新書)を読みました。

刑法改正の動き、アスリート盗撮というか盗撮の問題点を考えるために読んでみました。

 

 この本は、アスリートの盗撮問題はいつから存在するのか、なぜ問題なのか、どうして注目されるようになったのか、法改正などをして、被害を減らせないかということをまとめた本です。適宜、その他の盗撮の問題にも触れています。

 この本によれば、盗撮がなぜいけないのか特に、アスリートに対する盗撮がなぜいけないのかということについて、以下の点を挙げていたと考えました。①アスリートとして、競技に集中できなくなるため、パフォーマンスが低下すること、②性的にまなざされたくないということ、③アスリートを他の目的で見ているため、侮辱されているように感じるということです。いろいろ、これが被害であると主張する部分について考える部分があることもないではないのですが、これらの点で嫌な思いをしているという実態が分かったのは異常に有益でした。

 そして、現状「盗撮罪」を刑法に規定しようという動きがあること、盗撮罪を作って、より重い罪として処罰しようとしていることが分かりました。ただし、この本の趣旨上規制してほしいはずのアスリートが着衣状態で胸や尻が大写しになっている物については、「肌を露出している状態ではない」「裸体じゃない」ということで規制が進まない、規制に後ろ向きであることについても書かれています。非常に歯がゆい、規制してほしい部分ではあるとは思うし、これについてもいろいろ思うところはあるのですが、非常に有益になりました。

 ただ、この本で足りないなと思うのは、女性アスリートの盗撮被害より先に認識されていたといわれる男性アスリートの盗撮被害についてちょろちょろ書かれているのですが、肝心の盗撮に遭った男性アスリートが出てこないということがあります。結局盗撮された男性は被害についてどう対処したのか、被害についてどう思うのかが分からないので、「女性」の被害としてばかり取り上げられており、偏りや不足部分を感じる内容にはなっていました。

 盗撮というのはいずれなくなっていくべきとはいえ、盗撮を取り締まるという問題の難しさということがよくわかりました。

 

 

なぜ盗撮をしてしまうのか、盗撮方法としてどのようなものがあり、どこに警戒すべきかということを考えたいのでしたら、上のリンクを張った本を読んでみるといいかもしれません。