ロープラクティス民事訴訟法 発展問題6

ロープラクティス民事訴訟法の発展問題6を解いていきます。

この問題は二重訴訟に関する問題です。 

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 設問(1)

1.民事訴訟法142条によれば、二重訴訟の禁止が規定されている。この規定が設けられたのは、判決の矛盾の防止、訴訟経済の合理性の確保、相手方の応訴の煩の防止であるとされていることから、二重訴訟がされた場合二重訴訟となって訴えは却下される。

 また、民事訴訟法114条2項によれば、相殺の抗弁についても既判力が生じることから、民事訴訟法142条類推適用により、既判力の矛盾の防止のために先行する訴訟で主張された請求又は相殺の抗弁と同じ債権をのちの訴訟の請求や相殺の抗弁で用いることはできないとされる。

 本件事案において、AのBに対する訴訟において、BはAに対する売買代金請求権を相殺の抗弁として主張しているものの、その後別訴において、同じ売買代金請求権に基づく売買代金支払請求訴訟を提起している。そのため、BのAに対する売買代金請求権について既判力の矛盾抵触の恐れが発生しているといえるため、別訴におけるBのAに対する訴えは民事訴訟法142条により却下される。

2.したがって、BのAに対する訴えは適法であると認められない。

設問(2)

1.民事訴訟法142条によれば、二重訴訟の禁止が規定されている。また、民事訴訟法114条2項によれば、相殺の抗弁についても既判力が生じることから、民事訴訟法142条の類推適用により、裁判所に提起された請求権を別訴において相殺の抗弁として用いることはできないとされる。

 本件事案において、AはBに対して売買代金請求訴訟を提起し、BはAに対して別訴で売買代金請求訴訟を提起しているが、このBのAに対する売買代金請求訴訟において、裁判所に提起した売買代金債権を相殺の抗弁に用いているため、AのBに対する売買代金債権について既判力の矛盾の恐れが発生しているということが認められる。そのため、AのBに対する相殺の抗弁は民事訴訟法142条類推適用により却下される。

2.したがって、裁判所は相殺の抗弁を適法とすることはできない。