ロープラクティス民事訴訟法基本問題13

 ロープラクティス民事訴訟法の基本問題13を解いていきます。

この問題は公示送達、控訴、再審に関する問題です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.控訴

 まず、Yのとりうる手段として、控訴を行うことが考えらえるため、検討する。

 (1)民事訴訟法281条1項によれば、判決に不服のある当事者は控訴を行うことができるとされており、民事訴訟法285条によれば、控訴期間は2週間とされている。

 本件事案において、Yは前訴で敗訴した当事者であるため、判決に不服のある者として、控訴を行うことができる。

 しかし、Bが公示送達による判決の送達を知ったのはいつなのか不明であることから、仮に、控訴期間内であるならば、民事訴訟法281条1項により控訴を行うことにより、救済を求めることができる。

(2)ただし、もし、控訴期間を過ぎていた場合、民事訴訟法97条1項によれば、当事者が責めに帰すことができない事由による場合であれば、その事由が消滅したときから1週間以内であれば訴訟の追完として控訴を行うことができる。

 本件事案において、Yが訴訟の提起について知らなかったのは、公示送達がされたためであるものの、この間にYの訴訟代理人であるBはXの代理人が第二訴訟を提起しようとしているということは知っている。そのため、Yが訴訟について知らなかった点について、訴訟代理人であるBに問い合わせるべきであったにもかかわらず、問い合わせなかったという点に帰責事由があるといえる。

 したがって、民事訴訟法97条1項による訴訟行為の追完を求めることはできない。

2.再審

 次にYのとりうる手段として、民事訴訟法338条に基づき再審を行うことが考えられる。

 民事訴訟法338条1項3号によれば、代理人が代理権を欠いていたことを再審事由にすることができるとされているが、これは、訴訟参加ができなかったことを理由とするものであることから、送達が適切に行われなかったなどの理由で訴訟の係属を本人が知らなかった場合についても民事訴訟法338条1項3号類推適用により再審事由とすることができるとされる。

 本件事案において、裁判所は公示送達を行っているが、民事訴訟法110条1項1号によれば、公示送達を行うためには、当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知られていない場合でなければならないとされる。本件事案において、Yの住所として第一訴訟で示されていた住所に送達されているものの、送達が失敗しており、3回の調査で報告された住所に送達しても送達に失敗していることから、当事者の住所、居所、その他送達すべき場所が知られていない場合に当たるということができる。

 そのため、公示送達をとったことについて民事訴訟法110条1項1号に違反するということはできない。

 よって、民事訴訟法338条1項3号類推適用により再審請求を行うことはできない。

 以上