ロープラクティス民事訴訟法 基本問題15
この問題は時機に遅れた攻撃防御方法についての問題です。
1.民事訴訟法157条1項によれば、時機に遅れた攻撃防御方法の主張をするためには、当事者が故意または重大な過失により時機に遅れて攻撃防御方法を主張し、その主張により訴訟の完結が遅延させられると認められる場合、その攻撃防御方法は却下される。
本件事案において、Yは借地借家法13条に基づく建物買取請求権の行使を主張しているが、この主張が行われたのは、更新拒絶の正当事由が問題とされ、3回の口頭弁論期日、6回の弁論準備期日、2回の証拠調べ期日が終了した後のことである。このように期日を遅らせた理由は不明確であるものの、これまでに何度も建物買取請求を行う機会があったことからすると、故意に時期に遅れて建物買取請求の主張を行った者と考えられる。また、この建物買取請求が行われることによって、建物価格など調べなければならなくなることから、訴訟の完結の遅延という結果が発生する。
そのため、Yの建物買取請求の主張は民事訴訟法157条1項にいう時期に遅れた攻撃防御方法であるということができる。
2.そのため、Yの建物買取請求の主張は認められない。