ロープラクティス民事訴訟法発展問題24

補充送達と再審に関する問題です。

この部分は授業等でも扱われる割には司法試験に出てきたことがない問題です。

きちんと学んでおくに越したことはありませんが。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.最新が認められるためには、民事訴訟法338条1項各号の事由が認められ、他の方法により訴訟を行うことができない場合であることが認められなければならない。

(1)民事訴訟法338条1項3号によれば、訴訟行為をするのに必要な授権を欠いた場合に再審を認めることを規定しているが、このような規定が設けられたのは、訴訟手続きに関与する機会を付与するためであることから、民事訴訟法338条1項3号類推適用により、送達が行われなかった場合にも再審が認められる。

 本件事案において、Xに対する訴状はXの同居の親族である義父のAに交付されていることから、民事訴訟法106条1項の補充送達として適法に送達を行ったことが認められる。

 そのため、適法な送達が行われなかったことを理由として民事訴訟法338条1項3号類推適用により再審を認めることはできない。

(2)適法に送達が行われなかった場合でなくとも、訴訟当事者と補充送達を受けた者との利害関係から、訴状など訴訟に関する書面の交付が期待できない場合、であり、実際に訴状等の交付が行われなかった場合にも民事訴訟法338条1項3号類推適用により再審事由が認められるとされる。

 本件事案において、訴状はAに交付されているが、このAはYの主債務者であり、Xが敗訴すれば、自己の債務についての弁済が期待できるため、Xとの間に利害関係を有する者であり、訴状等の交付をすることが期待できない者であるということができる。

 さらに、訴状等はXに交付されていない。そのため、民事訴訟法338条1項3号類推適用により再審事由が認められる。

(3)再審を行うためには、補充性が認められなければならないが、XはAから訴状や判決書の交付がなされなかったことから、控訴の機会を失っており、再審以外では自己の主張を行うことができない状態にあるといえる。

 そのため、補充性も認められる。

(4)したがって、Xは民事訴訟法338条1項3号に基づき再審を請求することができる。

2.よって、Xは再審の訴えを提起することができる。