ロープラクティス民事訴訟法 基本問題22

ロープラクティス民事訴訟法の基本問題22を解いていきます。

この問題は光華寮事件をモデルに作られた問題です。

判例百選などに載っていないため、ロープラクティスの解説やテキストの該当ページなどを参考にするしかできませんでした。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.訴訟の当事者としてXではなく、Zが原告となっているか検討する。

 民事訴訟法上当事者は訴状の表示に従って、判断される。本件事案において、原告としてXが訴えを提起していることから、原告としてXが表示されているといえる。

 ただし、当事者の地位をひきつぎ、その後も当事者として訴訟追行を行った場合、表示されたものではなく、訴訟追行を行った者が当事者となるとされる。本件事案において、Zは特に訴訟追行を行っていないため、Zが当事者として表示されたとは言えない。

 したがって、Zが当事者としてそのまま訴訟追行を行うことはできない。

2.民事訴訟法37条によれば、法人の代表者の名において訴え、訴えられている場合、法人の消滅による訴訟代理権の消滅は通知をしなければ効力を生じないとされる。国家も権利能力の主体となるうえ、国家の権利義務の主体となる意義は法人と類似しているため、法人についても民事訴訟法37条が類推適用される。

 ただし、民事訴訟法36条1項のように通知を要求しているのは、法人格の消滅や訴訟代理権の消滅によって訴訟行為が不意打ちにより無意味になることを防ぐことを目的としている。そのため、法人格の消滅などの事情が高知の事実である場合、民事訴訟法36条1項の通知は不要である。

 本件事案において、X国は日本に承認されなくなったことから、日本国上国家として扱うことができなくなるため、法人格がなくなったの同様に権利義務の主体でなくなったということができる。そのため、Xの権利義務がなくなったことを主張するためには民事訴訟法36条1項に基づき通知を行わなければならないが、X国が承認されなくなったという事実は国などに問い合わせることによりすぐにわかる事実であるとともに、公知の事実となるべきであるから、民事訴訟法36条1項による通知は不要である。

 そのため、民事訴訟法37条類推適用の準用する民事訴訟法36条1項に基づきX国が未承認国家となったことを主張することができる。

3.民事訴訟法124条1項各号によれば、各号に掲げられる事情が生じた場合、各号に定められたものに訴訟を受刑させなければならないとされる。民事訴訟法124条1項2号によれば、法人が合併により消滅した場合、新たにできた法人に訴訟を受継させることができると規定されているが、これは法人に関する訴えについて変更後の法人に受け継がせることにより訴訟を円滑に行うためであると解される。そのため、国家の承認先が変わった場合にも民事訴訟法124条1項2号類推適用により、未承認国家となった場合に訴訟は中断し、その未承認国家に代わって承認を受けた国家に訴訟を受継させることができる。

 本件事案において、原告であるX国は未承認国家となったため、XのYに対する建物明け渡し請求訴訟の当事者能力を失ったものといえ、民事訴訟法124条1項2号類推適用により訴訟の中断が生じる。また、X国に代わって、Z国が承認されていることから、民事訴訟法124条1項2号類推適用により訴訟の受継をさせることができる。

 しかし、民事訴訟法124条2項によれば、前項の規定は訴訟代理人がある場合に適用しないとされている。本件事案において、Xの代理人としてBが居ることから、民事訴訟法124条1項に基づく中断も受継も生じない。

4.よって、控訴審裁判所はXのYに対する建物明け渡し請求訴訟について民事訴訟法124条1項2号に基づかずに控訴審においても訴訟を継続させることができる。

以上