ロープラクティス商法 問題29

ロープラクティス商法の問題29を解いていきます。

この問題は種類株主総会に関するものです。

 私が解いているものは、第3版のものです。

Law Practice 商法〔第4版〕

Law Practice 商法〔第4版〕

  • 作者:黒沼 悦郎
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: 単行本
 

 

 設問1

1.会社法321条によれば、種類株主総会は法律に規定された事項又は定款で定めた事項に関してのみ株主総会決議をすることができるとされる。

 会社法322条1項によれば、種類株式について322条1項各号に規定される行為を行う場合であると認められ、かつ、ある種類の種類株主に損害を及ぼす恐れのある場合には株主総会決議を経なければならないとされる。

 本件事案において、Y社はD社と合併しようとしていることから、会社法322条1項7号に規定される行為をしようとしていることが認められる。また、この合併により、Xは優先株式の額に相当する相当の対価を受けるものの、合併後のD社の株主となることはできないとされる。そのため、Y社の優先株式の株主は議決権を奪われるという損害を被ることが認められる。

 そのため、会社法322条1項に基づき、種類株主総会を必要とする。

2.したがって、この場合、種類株主総会を開催しなければならない。

設問2

1.会社法321条によれば、種類株主総会を開催するためには、法律に規定された事項又は定款で定められた事項に関するものでなければならない。

 会社法322条1項7号によれば、会社合併を行う場合で、種類株主に対して損害が生じるということが認められる場合には、種類株主の株主総会決議を必要とする。

 本件事案において、Y社とD社は合併しようとしていることから、会社法322条1項7号の事由が認められる。また、合併する際の合併比率は相当なものであるため、損害も生じない。

 そのため、会社法322条1項の種類株主の株主総会は不要であるといえる。

2.よって、この場合、Y社は種類株式に係る株主総会決議を経る必要はない。