ロープラクティス商法 問題30

ロープラクティス商法の問題30を解いていきます。

この問題は会社の期間設計に関する問題ですが、もしかしたら、最新の法改正に会っていない部分があるかもしれません。

私が解いているのは第三版です。

 

Law Practice 商法〔第4版〕

Law Practice 商法〔第4版〕

  • 作者:黒沼 悦郎
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: 単行本
 

 

 設問1

 1.まず、甲社の会社形態がどのようなものであるか検討する。

 本件事案における甲社は資本金50億円を有することから、会社法2条6号にいう大会社に該当する。また、東京証券取引所に上場していることから、会社法2条5号の公開会社に該当する。そのため、会社法327条1項1号に基づき取締役会の設置が必要であり、会社法327条の2により社外取締役を設置しなければならない。

 甲社は会社法上の取締役会設置会社に該当することから、会社法362条1号により重要な財産の処分について取締役に委任することはできなくなっている。重要な財産に該当するか否かは財産の価額のみでなく、会社の総資産に占める割合や、財産使用の態様や財産の保有目的などを総合考慮することにより判断される。

 Aが単独で決定しようとしている内容というものは、30億円を超えない取引についての決定であり、相当な額の取引であるということができる。さらに、この取引の額というものは資本金の額に比して非常に大きく、さらに、10億円程度は通常の取引の範囲内で行われているとはいえ、かなりの額に上るものであることから、30億円を超えない額というものは通常の取引の目的としてのみではなく、相当高額な取引としての目的を有すると考えられる。

 そのため、Aが単独で決定しようとしている30億円を超えない取引というものは会社法362条4項1号にいう重要な財産の処分に該当する。そのため、Aは定款変更によっても、このことを単独で決定することはできない。

2.よって、現状のまま本件アジェンダを規定することはできない。

設問2

1.会社法404条以下に規定される指名委員会等設置会社の場合、重要な財産の処分について取締役会で決定しなければならないとする規定がないため、締め委員会等設置会社に変更することが考えられる。

2.また、会社法399条の13第4項1号によれば、監査等委員会設置会社の場合でも重要な財産の処分について原則として取締役に委任することはできないものの、同条5項によって、重要な財産の譲渡について取締役に委任することができるとされる。ただし、そのためには社外取締役過半数を占めなければならないため、社外取締役を増員しない限りこのような形態にすることができない。

3.そのため、甲社を指名委員会等設置会社にすることが推奨される。