ロープラクティス民事訴訟法 基本問題20

ロープラクティス民事訴訟法の基本問題20を解いていきます。

この問題は権利自白に関する問題のはずなのですが、規範的要件に関する自白というべき問題なのかもしれません。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.民事訴訟法179条によれば、当事者が自白した事実については証明することを要しないとされる。この自白に該当するといえるためには、自己に不利益な事実を承認する当事者双方の一致した陳述であるといえなければならない。この事実とは、民事訴訟法247条の自由心証主義を害さないようにするため、権利の発生、消滅、障害、阻止に関する具体的事実である主要事実に限定される。

 本件事案において、XはYに対して国家賠償法に基づく損害賠償請求を行っている。この主張として、Xは自衛隊機のパイロットは民間機の飛行ルートに入らないように訓練すべきであったにもかかわらず、これを怠り損害を発生させたと主張した。これに対して、Yは過失があった事実は認めたものの、本件事故の発生についての場所や時刻について否認した。そのため、過失があったという点について当事者の主張が一致しており、この内容は損害賠償請求の基礎である過失について認めるという点でYに不利益であるといえる。また、この過失というものは国家賠償法に基づく損害賠償請求を基礎づける具体的事実すなわち主要事実であるということができる。

 よって、Yが過失を認めた点について民事訴訟法179条の自白が発生している。

2.そのため、裁判所は証拠調べをすることなくYの過失を認定することができる。

以上