海川道郎著『先生、馬で裁判所に通うんですか?』を読みました。
海川道郎著『先生、馬で裁判所に通うんですか?』(北海道新聞社)を読みました。
競馬に関わりながら活動した弁護士が居て、本を書いたらしいとのことで読んでみました。
この本は著者の海川道郎が、馬と生活するために、北海道の静内に法律事務所を構え、そこでどのような活動を行ったのかをまとめたエッセイ本です。
正直、馬との生活、競走馬に関わる法律事件について書かれているかと思い、それに興味を持って読み始めたのですが、弁護士過疎についても書かれていました。
弁護士過疎というのは、地方裁判所の支部、簡易裁判所の管轄内に弁護士がゼロ又は一人しかおらず、その地域に住む人が、法律上の紛争を適切に解決することができずにいるという社会問題のことです。この弁護士過疎の問題について、例にもれず、日高町に法律事務所がなかったため、乗馬クラブで馬に乗りながら生活したいと考える(奇特な?)海川弁護士が、法律事務所を設立し、以下に法律事務所の経営を行ったのかというお話でした。
個人的には、142頁にある通り、「裁判の数が少ないということは、その地域に紛争が少ないことを意味するわけではない」という点は非常に共感しました。というのも、裁判所があって、紛争があっても、近くに弁護士が居ないから、裁判をしようと思わない、弁護士さえいれば、事件を発見できるということもあるかもしれないと考えていたからです。
ただし、海川弁護士も、北海道までタダで移住できたわけではなく、自宅を構え、馬と生活するために、4000万円くらいの出費をしているようですから、そこまで簡単な話でもなさそうに思え、弁護士過疎の問題を解決するのは簡単ではなさそうだとも思いました。
あと、この本の中では、競走馬に関する法律問題を扱ったとの記述もあり、その点も非常に興味を持って読むことができました。競走馬特有の問題として、損害額の算定があるということは聞いたことがあるのですが、馬の医療過誤、預託料請求などにも問題があるというのは知りませんでした。このあたりの裁判例も調査していきたいです。
競走馬の法律問題に関しては他にも本があるようですので興味があれば、こちらも読んでみたいです。